研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『TOBUNKEN NEWS (東文研ニュース)』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


報告書『タイ所在日本製漆工品に関する調査研究―ワット・ラーチャプラディットの漆扉』の刊行

ワット・ラーチャプラディットの漆扉。上下に伏彩色螺鈿、中央に彩漆蒔絵で装飾されたスギ材が配置されている。
報告書の表紙

 東京文化財研究所は平成4(1992)年から、タイの文化財の保存修復に関する共同研究をタイ文化省芸術局と実施しています。その一環として、タイ・バンコクに所在する王室第一級寺院ワット・ラーチャプラディット(1864年建立)の漆扉について、当該寺院や芸術局などのタイの関係者による修理事業の実施に際して技術的な支援を行ってきました。
 文化財の修理にあたっては、個々の文化財の材料や技法、周辺環境や劣化状態を詳細に調査して方針を決め、進めなければならないことから、それらに関する科学的な調査が不可欠です。ところで、ワット・ラーチャプラディットの漆扉には、19世紀半ばを中心に日本からの輸出漆器に多く用いられた伏彩色螺鈿の技法による、花鳥や山水、和装の人物などの図柄が見られ、日本製であると考えられました。しかし、その確たる証拠はなく、生産地や同様の技法による作品の系譜への位置づけなども不明でした。そこで、科学的な調査や、伏彩色螺鈿及び彩漆蒔絵で表現された図柄に関する調査を、東京文化財研究所内外の様々な分野の専門家が行ったところ、材料の成分や製作技法だけでなく、図柄の表現からも、漆扉が日本で制作された可能性が極めて高いことがわかりました。
 令和3(2021)年3月に刊行した標記の報告書は、これらの研究成果とともに、多分野の専門家による文化財調査の全容をご理解いただける内容となっています。報告書は当研究所の資料閲覧室や公共図書館などでご覧になれますので、お手に取っていただけましたら大変幸いです。

丸亀・妙法寺における与謝蕪村作品の調査・撮影

損傷のある寒山図襖
調査の様子
撮影の様子

 香川県丸亀市にある妙法寺は、江戸時代の画家で俳諧師でもあった与謝蕪村(1716~83)が明和5(1768)年に訪れて、多くの絵画作品を残したことで知られる寺院です。その妙法寺で蕪村が描いた「寒山拾得図襖」(重要文化財)は、現状では寒山の顔の一部が損傷し、失われています。しかし、近年、東京文化財研究所が昭和34(1959)年に妙法寺で撮影したモノクロフィルムに、損傷前の状態が写されていたことがわかり、当初の図様が判明したのです。
 そこで、東京文化財研究所では、この古いモノクロフィルムと、新たに撮影する画像を用いて、損傷した襖絵をデジタル画像で復原するという調査研究を、妙法寺と共同でおこなうこととなりました。
 令和3(2021)年8月24日から28日にかけて、新型コロナウイルスへの十分な感染対策を講じたうえで、この共同研究の調査・撮影のため、城野誠治・江村知子・安永拓世・米沢玲(以上、文化財情報資料部)の4名で妙法寺を訪れました。調査の対象となったのは、「寒山拾得図襖」「蘇鉄図屛風」「山水図屛風」「竹図」「寿老人図」(いずれも蕪村筆)です。全作品ともカラー画像を撮影し、「寒山拾得図襖」「蘇鉄図屛風」「山水図屛風」については赤外線画像も撮影しました。また、「寒山拾得図襖」の復原画像は、最終的に襖に仕立てて本堂に奉安するため、建具制作や文化財修理の専門業者による採寸もおこなわれました。
 モノクロフィルムでしか図様がわからない部分を、いかにカラー変換するかなど課題もありますが、この復原を通して、東京文化財研究所が蓄積してきた画像資料の新たな活用法を探りたいと思います。

梅上山光明寺での調査

 令和3(2021)年7月7日・21日の2日間にわたり、東京都港区の梅上山光明寺で文化財の調査・撮影を行いました。
 7月7日には、城野誠治・江村知子・安永拓世・米沢玲(以上、文化財情報資料部)が、元時代の羅漢図の光学調査を実施しました。本羅漢図に関しては、昨年度にも調査・撮影を行い、令和2年度第8回文化財情報資料部研究会において来歴を含めた作品の概要を報告しています(参照:
https://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/878471.html)。今回の調査では蛍光撮影により、肉眼では識別しにくい画絹の後補部分と当初部分との違いなど、保存状態や表現をより詳しく確認することができました。
 同月21日には江村・安永・米沢が、武田雲室(1753~1827)の絵画作品の調査を行いました。信濃国飯山出身の僧侶で光明寺の第26世である雲室は、詩文や作画を得意とした文人でもあり、詩文結社を主催し、広瀬台山や谷文晁など当時の江戸の文人たちとも幅広く交流した人物です。光明寺には山水図や故事人物図をはじめ、雲室が手掛けた版本の画集『山水徴』、文書類などが所蔵されており、雲室の活動や事績を知るうえで大変貴重な作品群といえます。
 鎌倉時代に霞が関で創建された光明寺は、江戸時代初期には現在の地に伽藍を移したことが分かっており、延宝6(1678)年の銘記がある梵鐘や明和9(1772)年の石碑も伝えられている古刹です。今回の調査に基づき羅漢図や雲室の研究を進めるとともに、東京文化財研究所では今後も地域に残された文化財調査に積極的に取り組んでいきたいと思います。

武田雲室「群仙喫雲図」 文政8(1825)年
調査風景
同 部分図

近現代日本における「南蛮漆器」の出現と変容―第4回文化財情報資料部研究会の開催

写真1 東京国立博物館所蔵南蛮人蒔絵螺鈿鞍、明治6年澤宣嘉寄贈(ColBaseより)
写真2 『大和絵研究』1-3表紙

 令和3(2021)年7月16日に開催された第4回文化財情報資料部研究会では、文化財情報資料部広領域研究室長の小林公治が「近現代日本における「南蛮漆器」の出現と変容―その言説をめぐって―」と題した発表を行いました。
 発表者はこれまで17世紀前半を中心に京都で造られ欧米に輸出された南蛮漆器について物質文化史の視点による文化財学的な検討を進めていますが、現在一般に「南蛮漆器」と呼称されているこうした器物への関心が日本の近現代社会でいつ成立し、どのような過程を経て今に至っているのか、という点についてはさらなる具体的な資料調査による認識過程の跡付けと把握が必要であると考え、本発表を行ったものです。
 「南蛮漆器」と呼ばれる漆器への関心は、明治初期からの日本のキリシタン史研究、またこれに刺激された大正期前後の文学・演劇・絵画などに巻き起こった「南蛮」流行に影響を受けて始まったものであり、昭和初期から戦前にかけて日本の伝統器物に南蛮人の姿を表した「南蛮文様蒔絵品」(写真1)の収集が盛んに行われるようになりました。こうした「国内向け南蛮漆器」への関心は戦後にも続きますが、1960年代以降になるとヨーロッパに伝世した「輸出用南蛮漆器」が数多く逆輸入されるようになり、漆工史研究者の関心や展示品も「国内向け」品から「輸出用」品へと大きく転換し現在に至っています。こうした流れの大略はこれまでも言及されていましたが、本発表では輸出用南蛮漆器を主体と見る意識と重要性の理解が、戦時中の美術史雑誌である『大和絵研究』(写真2)に発表された岡田譲の「南蛮様蒔絵品に就いて」という論文を嚆矢とすること、そしてこのような輸出用漆器に対する関心の萌芽、流れや変化は戦前から戦後にかけて開催された各展覧会の展示漆器実態に反映しており具体的に裏付けられることを示しました。また近年、「南蛮漆器」と並行して使われている「南蛮様式の輸出漆器」という用語が、江戸時代各時期の日本製輸出漆器が伝世するイギリスやオランダといった国々の研究者によって提唱されたものであり、近世初期の「南蛮漆器」が中心的な伝世品であるポルトガルやスペインといった国々では「南蛮漆器」という用語が一般的に使われていることを示し、両用語が対立的なものではなく、相対化させた理解が可能であること、などを指摘しました。
 当日は、静嘉堂文庫美術館小池富雄氏、国立歴史民俗博物館日高薫氏、金沢美術工芸大学山崎剛氏のお三方にコメンテータとして参席いただき、多様な論点による本発表に対して論証不足な点や認識等について幅広く議論いただきました。近現代の研究材料はさまざまであり、いまだ見出せていない諸資料の存在も予測されます。今後もさらなる探索を進め、より確定的な研究史の理解となるよう検討を進めたいと考えています。

データベースの開発と運用について—第3回文化財情報資料部研究会の開催

インターネット公開している「東文研 総合検索(www.tobunken.go.jp/archives/)」では29のデータベースを横断検索できます。
作業用データベースも開発を続けています。画面はインターネット公開している尾高鮮之助調査撮影記録(www.tobunken.go.jp/materials/odaka)のために開発している作業用データベース。

 東京文化財研究所では文化財に関係する30を超えるデータベースをインターネット公開し、多くの方にご利用いただいております。これらのデータベースには、画家の日記や1930年代に撮影された文化財のモノクロの画像、1890年代に刊行された美術雑誌等の様々なデータを登録しています。
 ところで当研究所ではインターネット公開するためのデータベースと、データを作成し、保存するための作業用のデータベースとを別々に運用しております。公開用のデータベースには、それほど多くの機能は求められませんが、24時間稼働し続ける安定性や頻繁なセキュリティ対策が求められます。一方、作業用のデータベースには、校正のための特殊なデータ操作や特定の文字列の一括置換等の高度なデータ操作の機能が求められます。
 このように作業用と公開用のデータベースを分離する運用を当研究所では2014年頃より行っております。この間、使用ソフトウェアのバージョンアップやハードウェアの更新、外部データベースサービスの利用や担当者の交代等、データベースの開発と運用に影響を与える様々な出来事がありました。令和3(2021)年度第3回目の文化財情報資料部研究会では、改めてデータベースの現状について確認し、開発の方向性について検討いたしました。これらの議論を活かし、既存のデータベースを引き続いて公開するだけでなく、新しいデータベースの開発や利便性の向上に努めてまいります。

北米美術図書館協会年次大会での発表

発表の様子
発表スライド

 新型コロナウイルス感染症の影響は長らく続いており、以前であれば大勢の関係者が一堂に会して行っていた会議などはオンラインで開催されることが多くなっています。北米美術図書館協会の年次大会も、昨年に続きオンラインで開催され、令和3(2021)年5月13日にゲッティ研究所と共同でBuilding Bridges: Working Together to Disseminate Japanese Art Literatureと題した発表を行いました。東京文化財研究所からこの大会で発表を行うのは初めての機会でした。当研究所では平成28(2016)年にアメリカのゲッティ研究所と共同研究に関する協定書を締結し、明治期の美術雑誌『みづゑ』をはじめ、明治から昭和初期の美術展覧会図録、江戸時代の版本など、東京文化財研究所の蔵書をデジタル化し、ゲッティ研究所が運営するヴァーチャル図書館であるゲッティ・リサーチ・ポータルに情報提供し、インターネット公開を進めています。発表ではこれまでの共同研究事業の経緯や成果について紹介し、各国の所蔵資料を横断検索することでもたらされる新たな視点を具体的に示しました。世界的に外出や移動が制限される中、オンラインで貴重な研究資料が随意に利用できるヴァーチャル図書館は、さらにその重要性を増しています。これからも国内外の研究機関と協力して、広く文化財の研究に役立つ情報発信を推進してまいります。

酒呑童子絵巻についての発表—第2回文化財情報資料部研究会の開催

発表の様子
住吉廣行「酒呑童子絵巻」第6巻部分(ライプツィヒ民族学博物館蔵)

 むかし大江山もしくは伊吹山に棲み、都で女性や財宝を略奪する悪業をはたらいていた酒呑童子という鬼が、源頼光ら武士によって征伐される物語を描く酒呑童子絵巻は、人気のある画題で数々の作品が残されています。有名な作品としては、サントリー美術館に所蔵される、狩野元信による3巻の絵巻物がよく知られています。今回の研究会では、「新出の住吉廣行筆「酒呑童子絵巻」(ライプツィヒ民族学博物館蔵)について」と題して、発表を行いました。この作品は6巻で構成され、明治15年(1882)に明治政府のお雇い外国人医師のショイベがドイツ帰国の際に持ち帰ったのち、全くその存在が知られていなかったものです。発表者は令和元(2019)年にライプツィヒにてこの作品を調査することができ、今回の発表では、この作品が徳川家第10代将軍・家治の養女であった種姫(1765〜94、実父は田安徳川家宗武、実兄は松平定信)が、紀州徳川家第10代藩主・治宝(1771〜1853)に嫁いだ際の嫁入り道具として天明6年(1786)に住吉廣行によって描かれた可能性があることを指摘しました。この作品の構成としては、狩野元信の3巻本の内容に前半が加えられているもので、今後の酒呑童子絵巻の研究において重要な作例と言えます。今後さらに研究を進め、研究資料として活用していくことを目指していきます。

「辟邪絵」の研究―第1回文化財情報資料部研究会の開催

国宝 天刑星(辟邪絵のうち) 一幅 奈良国立博物館所蔵(画像提供 奈良国立博物館)
オンラインでの質疑応答の様子

 奈良国立博物館ほかに所蔵される国宝「辟邪絵」は、平安時代末期、後白河法皇のころに制作されたものと考えられ、「地獄草紙」とともにこの時代を代表する作品としてよく知られていますが、その画題や制作背景についてはいまだ検討の余地が残されています。令和3(2021)年度第1回目の文化財情報資料部研究会では、神奈川県立金沢文庫・主任学芸員の梅沢恵氏に「「辟邪絵」の主題についての復元的考察」というタイトルでご発表いただきました。梅沢氏はこの作品の主題が「鬼神にとっての地獄」であることを論述されていますが(梅沢恵「矢を矧ぐ毘沙門天と『辟邪絵』の主題」『中世絵画のマトリックスⅡ』青簡舎、2014年)、今回のご発表では、近年知られるようになった、一連の絵巻の一部と見られる新出の詞書を含めて詳細な分析をおこない、作品全体の構想について再考し、表現の根底にある宗教的思想や時代的な趣向について考察されました。研究会は新型コロナウィルス感染症拡大防止の対策を取りながらオンライン形式でおこないましたが、リモートでの参加者からも活発な質疑応答がおこなわれました。人の移動が制限されている状況ではありますが、十分な対策を講じた上で、研究活動を継続してまいります。

山梨絵美子副所長最終講演―第9回文化財情報資料部研究会

講演の様子
サテライト会場の様子

 令和3(2021)年3月25日に、東京文化財研究所副所長・山梨絵美子による講演「白馬会の遺産としての『日本美術年鑑』編纂事業」を行いました。当研究所が刊行している『日本美術年鑑』(以下、年鑑)は、現在は2年前の1年間の美術界の動きを1冊にまとめたもので、「年史」「美術展覧会」「美術文献目録」「物故者」によって構成されています。当研究所での刊行は1936(昭和11)年からで、戦中戦後の困難な時期にも継続されて今日に至っています。年鑑の独特の構成は、美術評論家で黒田清輝や久米桂一郎とも親交の深かった岩村透(1870-1917)の発案になるもので、その後の経緯と変遷について、山梨の近代日本美術史研究者としての視点や、永年の経験をふまえて講演が行われました。美術展覧会の増大や「美術」の範囲が拡大している昨今では、様々な問題もありますが、継続するための課題についての問題意識を共有し、当研究所のような公的機関が年鑑の刊行を継続する意義について強調され、講演を終えました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、講演会はオンラインで行い、参加者はサテライト会場とした研究所内のセミナー室や、各自の職場や自宅から講演を視聴しました。また講演の映像を4月30日までの期間限定で、東京文化財研究所Youtubeチャンネルで公開しました。山梨は3月末日をもって当研究所副所長を退任、4月からは客員研究員に着任され、今後も当研究所の活動に協力して頂きます。

久米桂一郎日記データベースの公開―久米美術館との共同研究の成果として

久米桂一郎日記データベース、明治32(1899)年1月4日の条
黒田清輝《佐野昭肖像》 東京国立博物館蔵

 洋画家の久米桂一郎(1866~1934年)は、盟友の黒田清輝(1866~1924年)とともに日本近代洋画の刷新に努めた画家として知られています。その画業を顕彰する東京、目黒の久米美術館には久米の日記が残されており、すでに『久米桂一郎日記』(平成2年、中央公論美術出版)が公刊されていますが、同美術館と当研究所の共同研究の一環として、3月25日より同日記の内容を、下記のURLにてCMSのWordPressを用いたデータベースとしてウェブ公開を始めました。
https://www.tobunken.go.jp/
materials/kume_diary

 日記はフランス語で記された箇所もあり、本データベースには明治25(1892)年までに記された仏文と、客員研究員の齋藤達也氏による邦訳も載せています。また、すでにウェブ上で公開している黒田清輝日記のデータベースと連携させ、記載年月日が重なる記述については、黒田・久米の日記の双方を参照できるようにしました。たとえば明治32(1899)年の正月を黒田と久米は静岡の沼津で迎えていますが、1月4日の日記に久米は「黒田佐野ノ像ヲ写ス」、黒田は「佐野の肖像をかく」と記していることがわかります。「佐野」とは黒田や久米と親交のあった彫刻家の佐野昭(1866~1955年)。この時、黒田が佐野を描いた肖像画は、令和元年度に黒田記念館(東京国立博物館)の所蔵品となっています。黒田と久米の日記の記述、そして現存する作品が結びついた興味深い例といえるでしょう。
 なお、同じく久米美術館との共同研究の成果として、『美術研究』第433号に塩谷純・伊藤史湖(久米美術館学芸員)・田中潤(客員研究員)・齋藤達也「書簡にみる黒田清輝・久米桂一郎の交流(一)」を掲載しました。これは久米美術館と当研究所が所蔵する、黒田と久米の間で交わされた書簡をリスト化し、その概要を総覧できるようにしたものです。久米日記のデータベースと併せ、日本近代洋画研究の便となれば幸いです。

東北歴史博物館における「文化財の記録作成とデータベース化に関するハンズオン・セミナー「文化財写真入門―文化財の記録としての写真撮影実践講座」」の開催

イシャリ撮影時の留意点の解説
注口土器の撮影実習
縞帳の撮影実習

 文化財の記録作成(ドキュメンテーション)は、文化財の調査研究や保護、さらには活用を行う上で必要な情報を取得する行為です。特に、写真からは、文字のみでは伝えきれない詳細な情報を読み取ることができ、適切な撮影条件を設定することで、より多くの情報の記録が可能です。
 このような文化財の記録としての写真撮影の実務について、令和3(2021)年3月12日に東北歴史博物館(宮城県多賀城市)において、宮城県博物館等連絡協議会加盟館を対象に、標記のセミナーを開催しました。セミナーは東京文化財研究所、東北歴史博物館及び宮城県博物館等連絡協議会の共催で、同協議会の令和2年度第2回研修会でもあります。開催にあたっては、マスクの着用、参加者間の距離の確保、換気など、新型コロナウイルス感染防止対策が取られました。
 当日は午前中の講義に続き、午後は縄文時代晩期の注口土器、伝統的なタコ釣りの仕掛けであるイシャリ、縞帳(縞模様の着物地の見本帳)など、東北歴史博物館の収蔵品を用いた撮影実習を行い、当研究所専門職員の城野誠治が講師を務めました。実習の参加者の皆様にはカメラを持参いただき、ライトやレフ板などの機材は館にお借りしました。実習で特に強調したのは、光の扱いの重要性です。館の方が手作りしたレフ板にライトを当て、反射させた光で被写体を照らし、観察を妨げる濃い影を消す手法など、いずれも既存の、あるいは安価な機材で実現できるものでした。参加者の皆様は熱心に実習に取り組まれ、学んだことを同僚にも伝えたい、業務で使ってみたいとのご意見を多くいただきました。
 多くの有益な示唆を与えてくださった共催機関の皆様、参加者の皆様に深く感謝いたしますとともに、今回の経験を生かしてセミナーを開催していきたいと考えています。

「日本美術の魅力:修復された海外の日本美術作品」展の延期と特設サイトの公開

特設ウェブサイト
宇陀紙の製造(映像)
補修紙の製造(映像)

 東京文化財研究所では平成2(1990)年より在外日本古美術品保存修復協力事業を進めており、ヨーロッパ、北米、オーストラリアなど各地の美術館が所蔵する385点の絵画や工芸作品の保存修復をおこなってきました。当初の計画では令和2(2020)年度にこの修復事業で修復した作品を里帰りさせ、修復の技術、材料や道具などとともに紹介する展覧会を開催することを計画して準備を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、展覧会は延期することとなりました。
 人やものの移動が制限される状況下でもできることとして、このたび特設ウェブサイトを制作・公開しました。このサイトでは、展示を予定していた日本美術の作品紹介、作品を所蔵する欧米の美術館の紹介、そしてこれまでに修復を行った作品のリストを検索可能なデータベースの形で公開し、報告書がすでに刊行されているものについては、その本文を閲覧できるようにしました。さらに文化財の修復に必要な伝統的な材料は数多くありますが、その中から、掛軸の表装で最背面に用いられる総裏紙として使われる宇陀紙と、本紙(絵や書が書いてある作品の紙)に欠損箇所を補修するための補修紙について、映像で紹介しています。これらは国の選定保存技術に認定されているものです。日本の伝統文化と自然環境の中で、さまざまな知恵と工夫が結集して伝統的な技術が継承され、文化財が守られているということをご理解いただける映像作品になっています。ぜひご視聴ください。なお本展覧会の準備およびウェブサイトの制作は、日本博事業として実施しました。
https://www.tobunken.go.jp/exhibition/202103/

『売立目録デジタルアーカイブの公開と今後の展望―売立目録の新たな活用を目指して―』の刊行

報告書の表紙

 東京文化財研究所では、明治期から昭和期に発行された2,565件の売立目録を所蔵しており、公的な機関としては最大のコレクションとなっています。そうした売立目録については、平成27(2015)年から東京美術倶楽部と共同で、売立目録のデジタル化をおこない(2015年4月の活動報告https://www.tobunken.go.jp/
materials/katudo/120680.html
を参照)、令和元(2019)年5月から「売立目録デジタルアーカイブ」として公開を開始しました(2019年4月の活動報告https://www.tobunken.go.jp/
materials/katudo/817096.html
を参照)。また、このデジタルアーカイブを広く知っていただくため、令和2(2020)年2月25日には「売立目録デジタルアーカイブの公開と今後の展望―売立目録の新たな活用を目指して―」と題した研究会を開催し、所内外から4名が発表したほか、研究会に参加した各地の学芸員や研究者とディスカッションや質疑応などをおこない、大きな反響を得るとともに好評を博しました。(2020年2月の活動報告https://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/822921.htmlを参照)。
 そこで、同研究会の内容を中心に据えつつ、当研究所の重要なコレクションとして長年閲覧に供されてきた売立目録の意義や、デジタル化の経緯についての内容を追加し、5年間の売立目録デジタル化の成果を研究報告書として刊行しました。その内容には、事業概要として「売立目録デジタルアーカイブの概要 安永拓世(東京文化財研究所主任研究員)」、論考として「彫刻史研究と売立目録 山口隆介(奈良国立博物館主任研究員)」、「土方稲嶺展(於鳥取県立博物館)での売立目録の活用と展開 山下真由美(細見美術館学芸員)」、「売立目録の「見かた」と「読みかた」―工芸作品を例とした売立目録デジタルアーカイブの活用について― 月村紀乃(ふくやま美術館学芸員)」「売立目録デジタルアーカイブから浮かび上がる近世絵画の諸問題 安永」、報告として「東京文化財研究所における売立目録収集と公開の歩み 中村節子(東京文化財研究所資料閲覧室元職員)」、「売立目録デジタル化事業におけるシステムの役割について 小山田智寛(東京文化財研究所研究員)」を収録しています。
 同報告書は、年度末に全国の主要な博物館・美術館・図書館・大学等には寄贈分を発送しましたので、ご興味のある方は、近隣の図書館などで閲覧していただければ幸いです。

片野四郎旧蔵の羅漢図について―第8回文化財情報資料部研究会の開催

研究会風景
羅漢図

 令和3年(2021)2月25日、第8回文化財情報資料部研究会が開催され、米沢玲(文化財情報資料部)と安永拓世(同)が、光明寺(東京都港区)が所蔵する羅漢図についての調査報告をそれぞれ行いました。
 報告を行った羅漢図は昨年の調査によって見出されたもので、明治28年の『國華』74号掲載の作品紹介の記事により、美術鑑定家・片野四郎(1867~1909)が旧蔵者であることが判明しました。米沢は「片野四郎旧蔵の羅漢図について―図様と表現の考察―」と題して城野誠治(文化財情報資料部)が撮影した高精細画像と赤外線写真を交えながら作品を紹介し、図様について、天部像を礼拝する羅漢とその従者であること、画面の上方には極楽浄土を象徴する迦陵頻伽と共命鳥が描かれていることを報告しました。また、表現については中国大陸で制作されたと考えられ、作品の様式的検討から元時代の作例である可能性を指摘しました。安永からは「片野四郎旧蔵「羅漢図」の近代における一理解」として、旧蔵者である片野四郎と父・片野邑平の事績、そして片野親子と交流した人々に関する詳細な報告がなされました。片野四郎は江戸青山の紀州藩邸で生まれ、帝国博物館美術部に勤務するなど我が国の黎明期における文化財行政に深く関わった人物で、古美術品の収集にも熱心でした。本羅漢図は、邑平の没後に売却され侯爵・井上馨が購入したことが売立目録や他の資料との照合から判明します。さらに安永は、本羅漢図がその構図によって平安時代の画家・巨勢相覧の作であることが伝承されていたことを指摘し、近世から継承された近代的な羅漢図の理解という側面についても考察を加えました。 
 当日の研究会はオンライン併用で開催され、コメンテーターとして梅沢恵氏(神奈川県立金沢文庫)・塚本麿充氏(東京大学)・西谷功氏(泉涌寺)をお招きし、それぞれの専門的見地から貴重なコメントをいただき、質疑応答の場では活発な意見交換がなされました。作品の保存状態や制作地・年代に関する諸問題は残されているものの、図様と表現の検討に加えて、伝来や近代的な羅漢図の理解という多方面からの報告がなされ、非常に充実した研究会となりました。

上野直昭資料をめぐって―第7回文化財情報資料部研究会の開催

上野直昭(左)と高裕燮(1930年代前半)
『高裕燮全集』3 (韓国美術史及美学論攷) (ソウル:東方文化社, 1993年)、口絵図版より引用
研究会の様子

 大阪市立美術館の館長や東京藝術大学の学長等、数々の要職を歴任した上野直昭(1882~1973)は、美学・美術史学者としての研究活動はもとより、大学での教育や美術館・博物館の運営、文化財の保護等、多方面にわたって美術界に貢献した人物です。当研究所の名誉研究員で直昭の次女である上野アキ(1922~2014)が亡くなった後、直昭関係の資料は東京藝術大学に寄贈され、現在は同大学美術学部の近現代美術史・大学史研究センターの所轄となっています。
 1月28日に開催された文化財情報資料部研究会では、この上野直昭資料の整理・調査にあたられた大西純子氏(神奈川大学国際日本学部非常勤講師)と田代裕一朗氏(五島美術館学芸員)にご発表いただきました。昨年度まで上記センターの前身である教育資料編纂室におられた大西氏による発表「上野直昭資料について 日本美術史との関係を中心として」では、同資料の全容や資料を通して浮かび上がる広範な人的ネットワークが示されました。また田代氏の発表「上野直昭資料から発見された高裕燮直筆原稿について」では、同資料のうち、現在韓国で美術史研究の父と称される高裕燮(コ・ユソプ 1905~44)の書簡や直筆原稿が紹介されました。上野直昭は大正末年から昭和初年にかけて京城帝国大学の教授を務めており、高裕燮は同大学在学時に上野に師事しています。紹介された資料からはその交流とともに、韓国での考古学・美術史学研究の草創期の様子がうかがえ、とりわけ高裕燮が力を注いだ石塔研究の発展過程を辿る上で貴重な資料であることが田代氏の発表で明らかにされました。
 今回の研究会は新型コロナウイルス感染拡大を受けての緊急事態宣言の発令中ということで、文化財情報資料部研究会としては初めてオンライン併用による開催を試みました。韓国をふくむ遠隔地在住の研究者にもご参加いただき、オンラインによるメリットを生かした研究会となりました。

「東文研 総合検索」上への「売立目録作品情報」の公開

売立目録作品情報データベースの入力画面

 東京文化財研究所では、平成27(2015)年から東京美術俱楽部と共同で、売立目録(オークションカタログ)のデジタル化事業をおこない(2015年4月の活動報告https://www.tobunken.go.jp/
materials/katudo/120680.html
を参照)、その成果として、令和元(2019)年5月からは「売立目録デジタルアーカイブ」として資料閲覧室のみで公開してきたところです(2019年4月の活動報告https://www.tobunken.go.jp/materials/
katudo/817096.html
を参照)。さらに、令和3(2021)年1月15日からは、「売立目録デジタルアーカイブ」の一部のテキストデータ(文字情報)を「東文研 総合検索」上の「売立目録作品情報」(https://www.tobunken.go.jp/archives/文化財関連情報の検索/売立目録作品情報/)というページで、広くウェブサイト上に公開することといたしました。
 この「売立目録作品情報」は、東文研が所蔵する2,565件の売立目録のうち、第二次世界大戦終結以前に発行された2,328件に掲載されている約337,000件の作品の情報をテキストデータで公開したもので、原則として写真が掲載された作品の文字情報を選択してデータ化したものです。画像を見ることはできませんが、売立目録に収載された豊富な文字情報が検索可能となり、さまざまな応用が可能になると期待されます。
 なお、東文研の資料閲覧室では、通常、月曜日・水曜日・金曜日の週3日設けていた開室日を、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、令和2(2020)年6月10日からは事前予約制で水曜日・金曜日のみとし、さらに、令和3(2021)年1月7日に再び緊急事態宣言が発令されたことにより、1月15日からは金曜日のみとなりました。こうした状況下では、資料閲覧室を利用できる人数も限られるため、資料のオープンアクセス化がますます求められます。今後は、画像が閲覧できる「売立目録デジタルアーカイブ」と、世界中どこからでも文字情報を検索できる「売立目録作品情報」をあわせ、両者を目的に応じて利用していただければ幸いです。

「文化財の記録作成とデータベース化に関するセミナー シリーズ「ディジタル画像の圧縮~画像の基本から動画像まで~」その1 ディジタル画像の基礎」の開催

会場の様子

 文化財の記録作成(ドキュメンテーション)は、文化財の素材や形状、色などの情報を把握し、得られた情報を調査研究や保存修復の計画策定、活用に役立てるために不可欠な過程です。文化財情報資料部文化財情報研究室では、このような文化財の記録作成のための写真撮影や、記録を整理・活用するためのデータベース化に関する情報発信を行っています。その一環として令和2(2020)年12月23日、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じたうえで、標記のセミナーを東京文化財研究所セミナー室で開催しました。
 シリーズ「ディジタル画像の圧縮~画像の基本から動画像まで~」は全部で3回を予定しており、第1回目の今回は、画像圧縮についてよりよく知るための基本的な内容としました。最初に今泉祥子氏(千葉大学大学院工学研究院准教授)が、アナログ画像との違いや各ファイル形式の特徴、解像度による情報量の変化など、ディジタル画像の性質について解説しました。次に、城野誠治(文化財情報資料部専門職員)が、光源ごとのスペクトルの特徴の違い、文化財写真に適した光源やその配置など、ディジタル写真撮影の際の光や色の扱いを中心に解説を行いました。
 現在、JPEG、MPEG4など、圧縮された画像や映像はとても身近な存在です。しかし、文化財の写真撮影や画像保存の計画を立てようとしたとき、圧縮によってどのような情報が失われるのか、TIFFやRAWで保存しさえすれば適切と言えるのかなど、疑問を持つこともあるのではないでしょうか。私たちは今後も一連のセミナーを通じて、文化財の画像による記録の作成や保存・発信にあたって参考となるような情報を発信する予定です。

屋外彫刻の保存における問題を考える―第6回文化財情報資料部研究会の開催

研究会の様子

 令和2(2020)年12月21日、文化財情報資料部では、野城今日子(文化財情報資料部アソシエイトフェロー)が、「屋外彫刻を中心とした「文化財」ならざるモノの保存状況についての報告と検討―シンポジウム開催を見据えて―」と題した研究発表をおこないました。
 日本には、全国各地の公共空間に屋外彫刻が設置されています。それらは、地域にとって重要な意味を持つ、かけがえのない存在です。しかし、多くの屋外彫刻はメンテナンスがされず、放置された状態にあり、さらに近年では安全性の問題から作品が撤去された例があります。そもそも、屋外彫刻は一般的に「文化財」として認識されておらず、ゆえに適切な保護体制の整備が進んでいません。
 本研究会では、このような屋外彫刻の問題を解決すべく、発表者から事例紹介と問題点が提示され、参加者とのディスカッションがおこなわれました。また、今回は、長年にわたり地域での屋外彫刻のメンテナンス活動に携わっている大分大学の田中修二氏と東海大学の篠原聰氏を招き、保存活動の現場が抱えている課題などについてコメントしていただきました。
 屋外彫刻の保存に関しての問題は、行政、教育、歴史など多岐にわたる問題が複雑に絡み合っており、簡単には解決できません。この問題の情報共有と解決方法を探るために、今後、シンポジウム開催を検討しています。

アート・ドキュメンテーション学会第13回秋季研究集会での発表

オンライン会議システムでの発表
発表スライドの一部「発展性:GRPへの日本のコンテンツ拡充」

 アート・ドキュメンテーション学会第13回秋季研究集会が令和2(2020)年11月28日に開催され、橘川英規・田村彩子・阿部朋絵・江村知子(以上、文化財情報資料部)・山梨絵美子(副所長)の連名で「葛飾北斎絵入り版本群・織田一磨文庫のオープンアクセス事業-ゲッティ研究所との協同による書誌情報国際発信の実践(古典籍書誌整備と資料保全)」と題して発表を行いました。当日は、研究所庁舎から5名がオンライン会議システムで参加、そのうち橘川・田村の2名が口頭で、この事業で実施した書誌整備とデジタル化に際しての資料保全について報告し、さらにその発展性を提示しました。発展性としては、この事業で構築したゲッティ・リサーチ・ポータル(GRP、http://portal.getty.edu/)への日本美術資料デジタルコンテンツの提供ルートを関連機関にも利用してもらうことで、GRP内に日本美術に関するコンテンツを増やし、その国際的なプレゼンスを高められる可能性について言及しました。同学会は、博物館・美術館資料担当の方が多く所属しており、具体的な資料保全、書誌整備の実践に焦点をあてたこの発表は、資料を取り扱う実務において参考になるということでも好評を得ました。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のために行動制限が設けられるなか、インターネット上における研究環境整備は急務だと認識しております。今後は各機関との連携を拡充していきつつ、日本美術の国際情報発信と、広範な文化財研究に有益な資料提供と環境整備に努めてまいります。
 なお、この発表の要旨はこちら(同研究集会予稿集、http://www.jads.org/news/2020/jads_autumn2020.pdf#page=9)からご覧いただけます。

セインズベリー日本藝術研究所とのオンライン協議

オンライン協議の様子

 東京文化財研究所では平成25年(2013)よりイギリスのセインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures; SISJAC)との共同研究を推進しています。SISJACは欧州における日本の芸術文化研究の拠点の一つとして活動し、海外で発表された英文による日本の芸術に関する文献や展覧会などの情報を収集し、東京文化財研究所の「総合検索」http://www.tobunken.go.jp/archives/にデータを提供していただいています。SISJACとの連携により「総合検索」から日本国内だけでなく、海外における日本の芸術に関する研究や動向も知ることができます。令和元(2019)年度までは毎年一回、当研究所の職員がノリッジのSISJACを訪問し、データベースについて協議し、講演をおこなってきましたが、今年は新型コロナ感染症感染拡大の影響により、渡航を取り止め、インターネット通信を用いた協議を令和2(2020)年11月26日におこないました。世界的に新型コロナ感染症感染拡大の影響が長期化するなか、いつでもどこでも利用が可能な公開データベースやオープンアクセス資料が、これまで以上に重要性を増しており、より広範な利用者層に提供するための取り組みについて協議しました。東京は午後5時、イギリスは午前8時と、9時間の時差があるなかでのオンライン協議でしたが、参加者が互いに顔を見ながら話し合い、情報共有ができたことは、今後の共同事業を進める上でも有意義な機会になりました。令和3(2021)年度以降の次期中期計画でも、SISJACとの共同研究を継続していく予定です。

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