国際研修「紙の保存と修復」の開催

実習の様子
本美濃紙の工房への訪問

 令和8(2026)年8月24日~9月11日、東京文化財研究所とICCROM(文化財保存修復研究国際センター)が共催する国際研修「紙の保存と修復」を実施しました。優れた文化財修復材料として国際的に認識されている日本の紙ですが、海外の保存修復技術者が日本の紙やそれらを使用した修復技術について正しい知識を得ることは困難です。本研修では、講義、実習、スタディーツアーを通して参加者に日本の紙への理解を深めてもらい、各人の修復技術がより効果的なものとなることを目指します。本年は131名の応募者の中から選ばれた10カ国10名の専門家が参加しました。

 講義では紙のほか、小麦デンプン糊や膠といった接着剤に関する科学的知識を深めました。続く実習では巻子の制作を通して、国の選定保存技術である装こう修理技術を学びました。スタディーツアーでは、美濃、名古屋、京都を訪れ、国の重要無形文化財である本美濃紙の工房や修復工房などを訪問しました。修復に用いられる材料や道具がどのように作られているのかを実際に見ることができたことは、参加者にとって貴重な機会となりました。また、研修を通して、参加者と日本の道具材料の生産者や保存修復士、さらに参加者同士の交流が生まれたことも、本研修の大きな意義であるといえます。

 終了後に参加者へおこなったアンケートでは、仕事に直接取り入れられる知識が学べたといった感想や、実体験を通じて理解を深めることができたといった感想が得られました。参加者が本研修で学んだ知識や技術を活かし、さらに活躍することが期待されます。

(202609 / 小口萌愛)