国際連携による文化遺産保存・活用研究の推進(その2)
ギリシャ時代の石灰質砂岩で造られた柱(セリヌンテ考古学公園)
損傷著しいローマ時代の壁(モンテ・サンタンジェロ考古遺跡)
東京文化財研究所では、壁画をはじめとする不動産文化財を主たる対象として、保存・活用に関する理念的枠組みと実践的技術の両側面から国際共同研究に取り組んでいます。これにより、保存修復および維持管理の水準向上に資する基盤の強化を図るとともに、その成果を活用した文化遺産保護に関する国際協力事業の推進を目指しています。
こうした取り組みの一環として、令和8(2026)年9月9日から10月2日にかけてイタリアを訪問し、ウルビーノ大学、ボローニャ大学、フィレンツェ大学、ならびにイタリア国立研究評議会(CNR)の研究者と、今後の国際共同研究について協議を行いました。本協議は、同年2月から3月の訪問時に確認された、保存修復材料の現状における課題とその改善に向けた共通認識を踏まえ、具体的な研究内容と実施体制を検討するものです。
研究では、ギリシャ・ローマ時代に制作された壁画および石造文化財を対象に、保存修復処置に用いる補強方法の改善と高度化を目指します。文化財の材質や劣化状態に応じた処置材料の挙動を明らかにし、より適切な補強技術の確立につなげることを目的としています。研究全体は東京文化財研究所が総括し、各協力機関がそれぞれの専門性を生かして分析調査や検証実験を担う体制について協議を進めました。
今後は、各機関の知見と技術を結集し、文化遺産の保存修復に関する課題の解決に向けた研究を具体化していきます。得られた知見を国内外の保存修復および維持管理の現場に応用するとともに、国際協力事業への展開を図ることで、多様な文化遺産の保護に寄与することを目指します。
