令和8年度博物館・美術館等保存担当学芸員研修(上級コース)」の開催

修復材料の種類と特性に関する講義の様子
保存環境に関するグループ討論の様子
文化財IPM概論・実習の様子

 令和8(2026)年7月6日~10日に「令和8年度博物館・美術館等保存担当学芸員研修(上級コース)」を開催しました。
 昭和59(1984)年以来、東京文化財研究所で開催してきた「博物館・美術館等保存担当学芸員研修」は、令和3(2021)年度より「基礎コース」「上級コース」として再編され、博物館・美術館等で資料保存を担当する学芸員等が、業務に必要となる知識や技術について、基礎から応用まで、幅広く習得できることを目的として実施しています。「基礎コース」は保存環境を中心とした内容で文化財活用センターが担当し、「上級コース」は保存環境だけでなく文化財保存の全般を当研究所保存科学研究センターが担当し実施しています。
 令和8年度の上級コースでは、保存科学研究センターで行っている各研究分野での研究成果をもとにした講義・実習および外部講師による様々な文化財の保存と修復、文化財レスキューに関する講義を実施しました。
・文化財修復原論
・文化財の科学調査
・保存環境に関する理論と討論
・文化財IPM概論・実習
・修復材料の種類と特性
・屋外資料の劣化と保存
・近代化遺産の保存
・多様な文化財の保存と修復
・博物館の防災
・民具の保存と修復
・大量文書の保存・対策
・紙本作品等の保存と修復
・写真の保存・管理
 受講生からは、「保存に対する考え方について基本的なことかもしれないが、あらためて大切なことだと感じた。館としての方針を全員できちんと考えたい」「幸い現時点で修復を要するものはありませんが、修復に対する考え方や目的、どこまでどのように行うべきかをよく検討した上で、修復にあたる重要性を学ぶことができた」「基礎的な知識・理論の再確認と他館の悩みや実践例を知ることが出来た点が非常に有意義であった」等の意見をいただき、この研修をきっかけに自館での保存・修復について改めて考える良い機会となったことが窺えました。研修全体を通じて、高い満足度の評価をいただきましたが、もう少し実際の現象への具体的な対処法や実習を増やしてほしいという意見があり、次年度以降に反映させていきたいと考えています。

(202607 / 秋山純子)