「文化財修復技術者のための科学知識基礎研修」の開催

実験器具の取り扱いに関する講義

 保存科学研究センターでは、文化財の修復に関して科学的な研究を継続してきています。令和3(2021)年度より、これらの研究で得た知見を含めて、文化財修復に必要な科学的な情報を提供する研修を開催することになりました。対象は文化財・博物館資料・図書館資料等の修復の経験のある専門家で、実際の現場経験の豊富な方を念頭に企画されました。
 令和3(2021)年9月29日より10月1日までの三日間で開催し、文化財修復に必須と考えられる基礎的な科学知識について、実習を含めて講義を行いました。文化財修復に必要な基礎化学、接着と接着剤、紙の化学、生物被害への対応などの内容であり、東京文化財研究所の研究員がそれぞれの専門性を活かして講義を担当しました。
定員15名のところ、全国より44名のご応募を頂きましたが、新型コロナ感染拡大の状況を考慮し、対象を東京都内に在住・通勤の方のみと限定し、その中から専門性などを考慮して15名の方にご参加頂きました。
 開催後のアンケートでは、参加者の方達から、非常に有益であったとの評価をいただきました。今後さらに発展的な修復現場に関する科学的情報のご要望もいただき、これらのご意見を踏まえながら今後も同様の研修を継続する予定です。

to page top