国際研修「ラテンアメリカにおける紙の保存と修復」の開催

装潢修理で用いる道具の説明
接着剤の講義と実習

 平成30(2018)年5月28日から6月13日にかけて、ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)のLATAMプログラム(ラテンアメリカ・カリブ海地域における文化遺産の保存)の一環として、INAH(国立人類学歴史機構、メキシコ)、ICCROM、当研究所の三者で国際研修『Paper Conservation in Latin America: Meeting with the East』を共催しました。本研修は、INAHに属するCNCPC(国立文化遺産保存修復調整機関、メキシコシティ)を会場として2012年より開催しており、本年はアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、キューバ、メキシコ、パラグアイ、ペルー、スペインの8カ国から11名の文化財修復の専門家が参加しました。
 当研究所は研修前半(5月29日-6月5日)を担当し、当研究所の研究員と国の選定保存技術「装潢修理技術」保持認定団体の技術者を講師とし、講義と実習を行いました。日本の修復技術を海外の文化財へ応用することを目標に、装潢修理技術に用いる材料、道具、技術をテーマに講義、実習を行いました。実習は当研究所で数ヶ月間装潢修理技術を学んだCNCPCの職員と共に遂行しました。
 研修後半(6日-13日)は西洋の保存修復への和紙の応用を主題に、メキシコとスペイン、アルゼンチンの文化財修復の専門家が講師を担当し、材料の選定方法や洋紙修復分野への応用について講義と実習を行いました。これらの講師は過去の当研究所の国際研修へ参加しており、国際研修を通じた技術交流が海外の文化財保護に貢献していることを改めて確認することができました。

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