実演記録「平家」第六回の実施

日吉章吾氏
録音技術を担当したスタッフ

 無形文化遺産部では、継承者がわずかとなり伝承が危ぶまれている「平家」(「平家琵琶」とも)の実演記録を平成30(2018)年より「平家語り研究会」(主宰:薦田治子武蔵野音楽大学教授、メンバー:菊央雄司氏、田中奈央一氏、日吉章吾氏)の協力を得て、実施しています。第五回は、令和6(2024)年2月8日、東京文化財研究所 実演記録室で《すずき》の撮影を実施しました。
 《鱸》は、平清盛の舟に鱸が飛び込んだエピソードを、熊野権現の守護を受けた平家一門の繁栄の前触れとして語ります。この詞章から、《鱸》は祝儀曲として好んで演奏されます。またこの曲は、短いながら基本的な旋律型を一通り含んでいるため、手ほどき(入門用の曲)としてもしばしば用いられます。今回の実演記録では、《鱸》を菊央氏、日吉氏、田中氏に分担して演奏してもらい、記録撮影しました。
 また、今回の記録撮影では、東京藝術大学教授亀川徹氏のもとでスタジオ録音を学ぶ学生の方々にも手伝っていただき、実演記録「平家」が、伝統芸能の記録撮影に欠かせない音響技術の実践の場ともなりました。
 今後とも無形文化遺産部では、伝統芸能の記録にかかる技術を、志をともにする方々と共に磨きながら、実演記録を重ねていきます。

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