文化財活用センターと協働で実演記録「平家」第五回を実施

 継承者がわずかとなり伝承が危ぶまれている「平家」(「平家琵琶」とも)について、無形文化遺産部では、平成30(2018)年より「平家語り研究会」(主宰:薦田治子武蔵野音楽大学教授、メンバー:菊央雄司氏、田中奈央一氏、日吉章吾氏)の協力を得て、記録撮影を進めています。第五回は、令和4(2023)年2月3日、東京文化財研究所 実演記録室で《那須与一》と《宇治川》の撮影を実施しました。
 《那須与一》は、那須与一が扇の的を射落として源頼朝から功績を認められたエピソードが有名で、この場面は絵画にもしばしば描かれてきました。そこで今回は新たな試みとして、高精細複製による文化財の活用を推進している、独立行政法人 国立文化財機構 文化財活用センターとの協働で、「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風(高精細複製品)」を演奏者の後ろに設置して撮影しました。《宇治川》は、宇治川を前にして繰り広げられる佐々木高綱と梶原景季の勇壮な先陣争いがテーマです。今回の実演記録では、《那須与一》を菊央氏(前半)と日吉氏(後半)、《宇治川》を田中氏の演奏で記録撮影しました。
 伝統芸能である「平家」にルーツを持ち、文学作品としての「平家物語」、さらに絵画などの題材へと展開する文化の広がりが伝わるような発信を、今後とも応用・工夫していきます。

「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風(高精細複製品)」の前で《那須与一》演奏する菊央雄司氏(左)、高精細複製品部分拡大図(右)
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