令和5年度「文化財修復技術者のための科学知識基礎研修」の開催

開講式後の集合写真
講義風景

 保存科学研究センターでは、文化財の修復に関して科学的な研究を継続してきています。令和3(2021)年度より、これらの研究で得た知見を含めて、文化財修復に必要な科学的な情報を提供する研修を開催しています。対象は文化財・博物館資料・図書館資料等の修復の経験のある専門家で、実際の現場経験の豊富な方を念頭に企画されています。
 令和5(2023)年8月22日~8月24日までの3日間で開催し、文化財修復に必須と考えられる基礎的な科学知識について、実習を含めて講義を行いました。文化財修復に必要な基礎化学、接着と接着剤、紙の化学、生物被害、薬品の使用上の注意や廃棄の方法などについて東京文化財研究所の研究員がそれぞれの専門性を活かして講義を担当しました。
 定員15名のところ、全国より32名のご応募を頂きましたが、実習を含むため全員お越し頂くことは叶わず、その中から21名の方にご参加いただきました。昨年度のご要望を踏まえ、より実践に役立つ内容を企画しましたが、開催後のアンケートでは、参加者の方達から、非常に有益であったとの評価をいただきました。今後修復現場に活用されたい科学的な情報の具体的なご要望もいただき、これらのご意見を踏まえながら次年度も同様の研修を継続する予定です。

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