Symposium—Conservation Thinking in Japan における研究発表

講演の様子

 令和4(2022)年5月6、7日にアメリカのニューヨークにあるBard Hall で開催されたシンポジウムConservation Thinking in Japan and Indiaにおいて、“The Relationship Between Traditional Painting Materials and Techniques in Japan from a Scientific Perspective”と題して、日本の文化財修復における技術と材料の関連性について発表しました。このシンポジウムはThe Andrew W. Mellon Foundationの助成を受けてBard Graduate Center が対面・オンライン併用開催したもので、内外の日本の文化財修復や美術史の専門家が最新の研究内容を紹介しました。
 修復材料研究室で行なってきた研究のうち、絵画の修復に用いる古糊が周辺材料や周辺技術と相関し合っていること、絵画の支持体である絹の生産工程上の変化が糸形状や保存性に変化を与え、ひいては絵画表現に影響を与えていると推定されることなどを紹介しています。シンポジウムの前後には関連の施設の見学やミーティングも行われ、修復の実情などを踏まえて活発な議論となりました。材料や技術の科学的な解明は、実際の修復の現場や材料の生産現場でも必要とされていますが、専門家との意見交換によりさらに研究を深める契機となり、また、広くこのような成果を知って頂く貴重な機会となりました。

to page top