文化庁主催「令和4年度文化的景観実務研修会」他への参加

葛飾柴又の文化的景観
旧「川甚」新館での全国文化的景観地区連絡協議会の様子

 文化遺産国際協力センターは、ユネスコ世界遺産をはじめとする文化遺産の保護についての国際的な動向や情報を日本国内で共有することを目的とした「世界遺産研究協議会」を平成29(2018)年から開催しています。令和4(2022)年度は、「文化財としての『景観』を問いなおす」と題し、近年わが国でも重要性が高まってきている面的な文化財の保護を取り上げます。このような背景から、国内における景観保護の潮流を理解するため、文化庁が10月27日~29日に開催した「文化的景観実務研修会」および「全国文化的景観地区連絡協議会」に参加しました。
 二つの会は、大都市に所在する文化的景観としては国内初の選定となった葛飾柴又で開催されました。研修会では、文化的景観の魅力発信や観光まちづくりに関する二つの事例発表の後、参加者がグループに分かれて実地を歩きながら、文化的景観の情報を内外の人が共有する(その魅力を知る)ための課題について調査し、その解決にむけての発表と討議を行いました。ついで協議会では、柴又の文化的景観の特質に関する基調講演、川魚の食文化の継承に関する三つの事例報告の後、本テーマに関する登壇者による討論が行われました。
 文化的景観の意義を次世代へ繋げるには、行政機関のみならず地域住民や関係者の主体的な参画が鍵となります。今回の研修会および協議会では、日々の生活に根ざした「生きた文化財」としての文化的景観を活用する手法に焦点が当てられました。言うまでもなく、こうした活用と車の両輪のような不可分的関係にあるのが保護であり、その制度や手段です。このことを念頭に今年度の世界遺産研究協議会では、文化的景観や歴史的街区など景観的な価値をもつ世界遺産が海外でどのような法的根拠の下に保護されているのかを明らかにし、わが国の「景観」保護の将来について展望したいと考えています。

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