スタッコ装飾及び塑像に関する研究調査(その3)

ヴェッキオ宮殿500人広間
3Dを用いた大理石彫刻と塑像の比較研究

 文化遺産国際協力センターでは、令和3(2021)年度より、運営費交付金事業「文化遺産の保存修復技術に係る国際的研究」において、スタッコ装飾及び塑像に関する研究調査に取り組んでいます。その一環として、令和6(2024)年2月26日~3月2日、および3月10日~12日にかけてフィレンツェを訪問し、ルネサンス後期、マニエリスムの彫刻家であるジャンボローニャ制作の塑像『ピサで勝利したフィレンツェ』を対象にした調査を、フィレンツェ美術監督局協力のもと行いました。
 この作品は、現在シニョーリア広場に面するヴェッキオ宮殿にある500人広間に展示されていますが、もともとは大理石で制作するうえでの原型として造られたもので、これをもとに制作された大理石の作品はバルジェッロ国立美術館に展示されています。今回の調査では、制作技法に係る検証の一環として2つの作品の形状を3Dで記録して比較しました。今後は、塑像を制作するうえで重要となる内部構造に焦点を当てた調査に移行していく予定です。
 国内外には数多くの塑像が現存しますが、意外にもその保存修復方法については確立されていないのが現状です。当該研究調査が保存修復方法の発展に繋がることを目指して活動を続けていきます。

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