「文化財建造物等の地震対策に関する日中専門家ワークショップ」開催

総合討議の様子
被災現場視察(二王廟)

 昨年5月の四川大地震では多くの文化財も被災し、中国全土から派遣された専門家や技術者がその復興に尽力しています。これを支援し、今後の防災政策立案にも寄与することを目的に、2月9日から12日まで同省の成都市でワークショップ(文化庁と中国国家文物局の共催)が開催され、文化遺産国際協力センターは、プログラム策定や講師の人選、テキスト作成等の実務を文化庁から受託しました。
 日本側はセンターの4名を含む16名を派遣し、中国側は70名以上が参加して、建造物分野を中心に博物館の地震対策等も加えた内容で講演と討議、現地視察を行いました。阪神大震災以来の日本の文化財地震対策や耐震技術を紹介しながら、今回地震での文化財被災状況とその後の対応に関する中国側報告や、都江堰市の文化財復旧現場視察も踏まえて、両国が抱える課題や今後の対策等につき意見を交換しました。3省4市と20の文化財修復機関に民間企業や博物館も加えた代表が各地から集まったこの会議は、日中専門家間はもとより、国内技術者間の交流促進にも大いに役立ったようです。
 目下、復旧の具体的設計や文化財耐震指針の検討等が進められていますが、構造技術者の不足など課題も多く、さらなる支援の必要性を改めて認識させられました。また、わが国における文化財保存の考え方を正しく理解してもらうための一層の努力も必要と感じました。

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