珍敷塚古墳のカビ対策のための調査

修復のための状態調査

 特別史跡珍敷塚古墳の保存修復のための指導助言及び調査を行いました。珍敷塚古墳は赤やグレーの顔料で文様が描かれた装飾古墳です。長い歴史の中で墳丘は失われ、現在は石室に用いられた石が露出しており、その周囲を覆屋で保護しています。この覆屋内の石の表面に大量のカビが発生し顔料が不鮮明となっていることがわかりました。そこで本格的な修復作業に向けた予備調査として、カビのサンプリングを行い、紫外線や筆などによるカビの除去を試みました。また、石表面温度の測定、近赤外水分計による水分量の測定を行い、処置が石に与える影響を検討しました。これらの調査結果を踏まえ、来年度には本格的な修復作業が実施されます。また、緊急的な処置だけでなく、覆屋内の環境制御を含めた中長期的な保存対策が求められています。

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