『春日権現験記絵披見台 共同研究調査報告書』の刊行

『春日権現験記絵披見台 共同研究調査報告書』表紙
特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」において、「春日権現験記絵披見台」の前で解説を行う奈良国立博物館研究員・清水健氏

 東京文化財研究所企画情報部では、研究プロジェクト〈高精細デジタル画像の応用に関する調査研究〉の一環として、奈良国立博物館との共同研究を実施しています。平成22年3月には、「春日権現験記絵披見台」(奈良・春日大社蔵)の報告書を刊行いたしました。本作品は、縦約42㎝の6枚折りの屏風装の画面に、金銀の泥、切箔を用いて、春日大社の境内の情景が描かれています。この作品はかねてより紙本屏風の古例と見なされることや、14世紀の金銀泥絵の貴重な遺例としても、注目されていました。今回の共同研究調査で撮影した蛍光画像では、肉眼では確認しづらい図様や細部の表現を認識でき、今後の景物画、金銀泥絵研究において、重要な研究資料となることが期待されます。また報告書刊行に先立ち、2009年12月8日~2010年1月17日に奈良国立博物館で開催された特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」において、本作品が出陳されるのにあわせて、この調査で撮影したカラー画像と蛍光画像をパネルとして対比的に展示し、一部成果公表を行いました。

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