国際連携による文化遺産保存・活用研究の推進
文化遺産国際協力センターでは、壁画をはじめとする不動産文化財を主たる対象として、保存・活用に関する理念的枠組みと実践的技術の両側面から国際共同研究に取り組んでいます。これにより、保存修復および維持管理の水準向上に資する基盤の強化を図るとともに、その成果を活用した文化遺産保護に関する国際協力事業の推進を目指しています。
令和8(2026)年2月24日から3月13日にかけてイタリアを訪問し、ウルビーノ大学、フィレンツェ大学、ならびにイタリア国立研究評議会の研究者と協議を実施しました。主たる議題は、保存修復材料の現状における課題の整理と、その改善に資する研究の方向性を検討することです。協議を通じて、各機関が共通の問題意識を有していることを確認し、今後は国際共同研究の枠組みのもとで連携し、具体的研究を推進していくことで合意に至りました。
また、ナポリ国立考古学博物館およびポンペイ考古学公園の訪問に際しては、ローマ時代の壁画およびスタッコ装飾の保存修復に関する現状把握を行うとともに、既存手法の課題や改善の可能性について現地研究者と意見交換を行いました。その結果、同遺跡公園が管理する壁画およびスタッコ装飾について、本研究の対象として提供を受けるとともに、保存修復技術の高度化に向けた研究に対する協力を得られることとなりました。
今後は、研究活動の一環として、ローマ時代の壁画およびスタッコ装飾を主たる対象とし、今回協議を行った各機関との連携のもと、材料研究および保存修復技術の体系化を進めていく予定です。本取組みは、文化遺産保存分野における国際協働の深化とその実践的展開に向けた重要な基盤形成の一端を担うものです。さらに、これにより得られる成果を日本国内外における文化遺産の保存修復および維持管理の実践に還元し、各地の文化遺産の持続的な保護と活用に資することを目的としています。
