今泉省彦旧蔵資料の受入

今泉省彦旧蔵資料の一部

 画家であり、「美学校」校長も勤めた今泉省彦(1931-2010)の旧蔵資料をご遺族から3月31日付でご寄贈いただきました。今泉は日本大学芸術学部美術科在学中より前衛的な美術運動に関わり、絵画制作のかたわら評論執筆をはじめ、1958年には雑誌『形象』の創刊に携わり、1969年創設の「美学校」の運営を通じて前衛美術家たちと幅広く最晩年まで交流、その活動を支えた人物です。今回ご寄贈いただいた資料群は、1950年代から2000年代に今泉が生成した日記、写真、書籍・雑誌類、書類、あるいは今泉に届けられた書簡からなり、書架延長6mほどの分量です。「美学校」で教鞭をとった松澤宥、中村宏、中西夏之、赤瀬川原平、菊畑茂久馬らに関するものも多く含まれ、また今泉が〈社会主義国におけるユニバーシアード〉といわれる世界青年学生平和友好祭において展覧会実行委員(1955年、1957年)を務めていたときのソ連側との連絡書簡等も遺されており、1950年代後半における非アメリカ、非西ヨーロッパとの関連を検証できる資料群でもあり、美術史にとどまらず、冷戦期の文化史、社会史研究の文脈においても重要な資料です。当研究所情報資料部では、これまで今泉旧宅を訪問し、その資料の調査を行ってまいりましたが、ご遺族の厚意でご寄贈いただくことになりました。これらの資料は、資料保全処置、資料検索のためのデータ整理を行ったのち、当研究所資料閲覧室にて研究資料として閲覧提供させていただく予定です。

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