韓国文化財保存科学会第60回秋季学術大会への参加

学会開会式
研究発表の様子

 令和6(2024)年11月8~9日に、韓国・全州市 全北大学国際コンベンションセンターにて開催された、韓国文化財保存科学会第60回秋季学術大会に参加しました。

 今年の大会では、特別セッション「気候変動に対する文化遺産の防災と予防保存」にて日韓共同して発表が行われました。特別セッションでは日本から国立文化財機構文化財防災センター長の高妻洋成氏、三の丸尚蔵館の建石徹氏、そして東京文化財研究所保存科学研究センター研究員・芳賀文絵が発表を行いました。また、ポスターセッションで保存科学研究センター研究員・千葉毅が日本における航空資料の保存について、韓国の指定文化財との比較を挙げながら日本の制度上の課題について報告しました。

 今回の特別セッションでは、災害発生時に国、行政として文化財の救出にどのように対応していくのかが議論された後、個別の地域において実際の気温上昇に応じて、例えばシロアリの種による被害状況の変化の報告等が行われました。日本からは東日本大震災で被災した資料の保存をはじめ、資料が被災したことに起因する文化財からの揮発成分の調査、そして資料への影響について報告しました。

 災害への対応は、その被害を予測し予防するだけでなく、より多様な対処方法等について情報を共有し、知見を広く持つことにより、柔軟な対応が可能となり、いわゆる災害に対してレジリエンス(回復力、復元力、弾力性)の高い体制を持つことができると考えられます。今後も日韓共同した交流を継続することで、より良い文化財保存のための動きがとれるよう協力していきたいと思います。

to page top