インディアナポリス美術館での日本絵画作品調査

インディアナポリス美術館での調査風景

 日本の古美術品は欧米を中心に海外でも数多く所有されていますが、これらの保存修復の専門家は海外には少なく、適切な処置が行えないため公開に支障を来している作品も多くあります。そこで当研究所では作品の適切な保存・活用を目的として、在外日本古美術品保存修復協力事業を行っています。2016年2月8日から10日の日程で、文化遺産国際協力センターの江村知子、小田桃子がインディアナポリス美術館を訪問し、日本絵画作品の調査を行いました。この調査には国宝修理装こう師連盟専務理事の山本記子氏にもご同行頂きました。インディアナポリス美術館は、1883年に設立されたアメリカ合衆国でも有数の美術館で、世界の美術作品約54000点を所蔵しています。今回の調査では、同館東洋美術学芸員のJohn Tadao Teramoto氏、主任修復師のClaire L. Hoevel氏とともに、保存状態に問題があるとみられる絵画作品7件11点について調査を行いました。調査で得られた情報を同館の担当者に提供して、作品の保存管理に活用して頂く予定です。そしてこの調査結果をもとに作品の美術史的評価や修復の緊急性などを考慮し、本事業で扱う修復候補作品を選定していきます。

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