アジャンター壁画の保存修復に関する調査研究事業~第4次ミッション報告

アジャンター第2窟における高精細写真撮影
アジャンター第9窟における高精細写真撮影

 東京文化財研究所とインド考古局は、文化庁委託「文化遺産国際協力拠点交流事業」および運営費交付金「西アジア諸国等文化遺産保存修復協力事業」の枠組みのもと、アジャンター壁画の保存修復に関する共同研究を行い、保存修復に関する知識の共有と技術交換を目指しています。
 アジャンター壁画は、基岩の亀裂からの浸水や、生物被害、人為的損傷に加え、過去の修復に起因する色調変化や彩色層の劣化といった多くの問題を抱えています。このような問題に対処するためには、膨大な量の壁画の状態を詳細に把握・分析することが必要ですが、そのための効果的なドキュメンテーション手法は未だ確立されていないのが現状です。
 そこで昨年度より、アジャンター石窟では初の試みとして、高画素デジタルカメラを使用して壁画の状態を高精細写真で記録する作業を開始しています。今回の第4次ミッション(平成22年9月8日~10月2日)では、第2窟および第9窟の壁画を対象に、高精細写真記録および色彩計測をインド人専門家と共同で行いました。得られたデータは今後、インド考古局と協力しながら、適切な壁画保存修復方法の確立にむけた検討の基礎データとして活用していきます。

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