批評家・添田達嶺のいとなみ―令和7年度第9回文化財情報資料部研究会の開催
迫内祐司氏による発表の様子
ディスカッションの様子
近現代美術の研究において、作品を生み出す作家を対象とするのはもちろんですが、作家や作品を評価し、文筆を通して後世に伝える批評家について調査し、考察することも重要です。3月4日の文化財情報資料部研究会では、『日本画壇争闘史』(1924年刊)、『南画と文人画の鑑賞』(1934年刊)、『半古と楓湖』(1955年刊)等、多くの著作を残した添田達嶺(1888~1971)をテーマに、2名の研究者による発表が行なわれました。
迫内祐司氏(小杉放菴記念日光美術館学芸員)による発表「添田達嶺とその資料について」では、これまでほとんど知られることのなかった達嶺の生涯と業績が詳らかにされました。続く堀宜雄氏(福島県立美術館専門員)の「書簡資料にみる添田達嶺と東西日本画家との交流」では、遺された達嶺宛ての書簡の中から、金島桂華、土田麦僊、堂本印象、堅山南風、酒井三良といった東西の日本画家によるものを紹介、その交流の一端をひもときました。
この度のお二人の研究は、出光美術館の助成を受けて行なわれた、添田家に伝わる資料群の調査に基づくものです。研究会には、この調査に加わった伊能あずさ氏(川越市立美術館学芸員)、田邊健氏(小杉放菴記念日光美術館学芸員)も参加、また達嶺の孫である江中(添田)里子先生(昭和女子大学名誉教授)にもご出席いただきました。発表後のディスカッションでは、江中先生の回想も交えながら、達嶺の美術史における位置、そして遺された資料群の今後の活用について意見が交わされました。
