第40回世界遺産委員会(再開審議)への参加

ユネスコ本部での審議の様子

 第40回世界遺産委員会は、2016年10月24日~26日にパリのユネスコ本部で実施されました。これは、クーデター未遂の影響で中断したイスタンブールでの審議が再開されたもので、当研究所からは3名が参加しました。
 委員会では、世界遺産一覧表に記載済の資産について軽微な変更の可否が審議され、日本が申請した「紀伊山地の霊場と参詣道」の2つの参詣道の計40.1kmの延長などが承認されました。また、各締約国が世界遺産一覧表への登録推薦を予定する資産を記した暫定一覧表について、日本からは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(奄美・琉球)の追加が確認されました。「奄美・琉球」は2018年の世界遺産一覧表記載を目指して準備が進められていますが、これにより推薦書の提出が正式に可能となりました。なお現在、日本の暫定一覧表記載資産には、今回の追加を含め10件が記載されています。
 委員会ではさらに、登録推薦や保全状況報告などの手順を定めた「世界遺産条約履行のための作業指針」が改訂されました。これまで、各締約国は1回の委員会に2件まで(うち1件は自然遺産もしくは文化的景観)登録推薦を行えましたが、2020年の第44回世界遺産委員会での審議対象からその数が1件となります。同時に、各回の委員会で審議する推薦の数も45件から35件に削減、推薦書の提出数が35件を超えた場合、世界遺産が少ない締約国などの推薦が優先されます。日本はすでに20件の世界遺産を持つため、推薦書を提出しても審議が延期となる可能性もあり、得られた審議の機会はいっそう貴重なものとなります。私たちは世界遺産に関する調査を通じ、諸外国での文化遺産保護の基盤強化への貢献や、国内関係者への推薦書の作成上有益な情報の提供に努めたいと思います。

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