研究会「博物館での文化財の保存と活用に関する国際的動向」の開催

保存修復科学センターでは、プロジェクト研究「文化財の保存環境の研究」を行っています。この度、オーストラリア博物館保存科学研究室長のヴィノ・ダニエル氏が来日することになり、7月10日(木)東京文化財研究所会議室で「博物館での文化財の保存と活用に関する国際的動向」というテーマで研究会を開催しました。ヴィノ氏の所属するオーストラリア博物館では、オセアニア地域の民俗文化財の保存と活用に関する研究も進めていますので、それらの事例についてもお話し頂きました。最近の問題として、地球温暖化の影響や博物館でのエネルギー消費の問題なども話題になり、参加者との間で活発な討論が行われました。
地理情報システムを用いた文化財防災情報システムの開発および平成20年岩手・宮城内陸地震による被災文化財調査


東京文化財研究所では、2003年より中期計画プロジェクト「文化財の防災計画に関する研究」を行っており、地理情報システム(GIS)を用いて、国指定文化財を対象とした文化財防災情報システムを開発するなどの研究を行っています。
昨年より大きな被害を伴った地震が複数発生しておりますが、今年も6月14日(土)午前8時43分頃に、岩手県内陸南部を震源とするM7.2の地震が発生(平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震)し、おもに山間部の土砂崩れにより多数の犠牲者を出すとともに建物・ライフライン等にも大きな被害が生じました。その中で国指定文化財の被害は、岩手県・宮城県・秋田県で計30か所(文化庁調べ、2008年6月20日)と報告されています。
当研究所では、地震発生後すぐに文化財防災情報システムを活用し、強震領域とそこに位置する国指定文化財(建造物)の抽出を行いました(図中水色枠内が震度5弱以上の強震域、水色丸印が領域内の文化財)。実際には、建造物被害の数は少ない(30件中9件)うえに軽微なものが多かったのですが、予測領域から離れた部分でも被害が確認されており、予測手法を含めた今後の改良が必要だと考えております。
また、地震発生後1か月以上経過した7月31日、8月1日に、宮城県を中心に被災文化財の調査を実施しました。特に被害が甚大だったものとして、史跡・仙台藩花山村寒湯番所跡の石垣被害が挙げられます。数年前の大雨により被害を受け修復を行った後だけに、被害状況および原因を詳細に調査し、今後の修復に生かすことが望まれます。
「保存担当学芸員フォローアップ研修」の開催

「保存担当学芸員研修」の修了者を対象に、資料保存に関する最新のトピックを伝える目的で年1回行っている表題の研修を、今年度は6月2日に開催しました。今回取り上げたテーマは、コンピューターシミュレーションによる館内温湿度解析(犬塚将英)、文化財保存施設におけるジクロロボス蒸散殺虫剤の使用について(吉田直人)、「カビ対策マニュアル」作成協力者会議(文部科学省大臣官房政策課所管)を終えて-「カビ対策マニュアル」の目指すもの-(佐野千絵)の3つです。保存環境の予測、生物被害の防止、また資料保存のみならず、職員の健康被害防止は現場では切実な問題であることもあり、参加者の皆様と私たちの間で、活発な質疑が交わされました。今回の参加者は66名と、過去25年の研修修了者の1割を超え、我々に課せられた責務の大きさを実感させられます。今後も、フォローアップ研修のみではなく、様々な機会を通じて、最新の情報を提供するつもりです。
保存修復科学センター研究会「三角縁神獣鏡の謎に迫る-材料・技法・製作地-」

文化財の原材料や製作技法についての詳細な研究から、保存修復やその歴史研究に資する重要な情報が得られます。今回のテーマには、前期古墳から大量に出土し魏鏡か倭鏡かで論争が続けられている三角縁神獣鏡を取り上げ、材料・形態などの製作情報から製作時期などの歴史情報をいかに引き出すかについて検討しました。鈕孔形態と外周突線という新しい視点を導入して三角縁神獣鏡の研究に画期的な進展をもたらした福永伸哉氏と、青銅器の鉛同位体比を多数測定し三角縁神獣鏡の材料についての新しい解釈にたどり着いた馬淵久夫氏を講師にお招きし、パネル討論には難波洋三氏、斉藤努氏も交えて活発な意見交換がありました。馬淵氏から三角縁神獣鏡の製作時期について新しい解釈が示され、自然科学的手法を利用した歴史研究の奥深さを理解できた有意義な研究会となりました。(平成20年6月20日(金)、於:東京文化財研究所 地下セミナー室、参加者60名)
特別史跡・キトラ古墳壁画の保存修復

東京文化財研究所では文化庁からの受託事業で、「特別史跡キトラ古墳保存対策等調査業務」を行っており、その中で、石室内の定期点検や壁画の取り外しなどを進めています。
特に天井天文図では、平成19年7月に一部のはく落が確認されて以来、順次取り外し作業を進めてきました。最初は、落下の危険性が極めて高い部分を、小さな範囲で取り外しておりましたが、取り外しに使う道具類の改良などにより、現在では一辺10㎝程度の壁画片を取り外すことが可能となりました。その結果、平成20年6月末には、奎宿(けいしゅく)および外規北側を取り外し、南側半分を残すのみとなっています。今後、定期的に取り外し作業を継続し、天井天文図については今年度中に全て取り外すことを目指しています。
「保存担当学芸員研修」開催に向けて
全国の文化財保存施設において、資料保存を担当する職員を対象に、必要かつ基礎的な知識や技術を学んでいただくために毎年7月に開催している「保存担当学芸員研修」は今年度で一つの節目となる25回目を迎えます(7月14日から2週間の予定)。例年2月初旬までに開催要項を全国に配布しており、今年度は定員(25名)を大きく超える応募があったため、選考を行いました。選考にあたっては、この研修が初心者向けであるという観点から、ある程度保存施設における実務経験があり、受講後は勤務館のみではなく、長期にわたり地域における資料保存の核となっていただけるような人を重視しました。
現在私たちは、7月の開催に向けて、プログラム作りや、外部講師の依頼、実習の内容精査、また実習機器のチェックなどを行っています。研修内容は、毎年の研修後に参加者からいただいたアンケート結果などを参考に毎年少しずつ改善しています。参加者は2週間もの間、職場を離れることになります。これは、参加者および勤務館の両者にとって大きな負担ですので、私たちにはこの研修が実践的に意義あるものであったと実感していただけるよう万全の準備を行い、開催に備えるよう心がけています。
平成19年度在外日本古美術品保存修復協力事業における修復作品の展示会について

保存修復科学センターでは、5月13日(火)から25日(日)まで、東京国立博物館平成館企画展示室において平成19年度在外日本古美術品保存修復協力事業において修復が終了した、屏風(6曲1双)2組、掛幅3幅及び漆工品2作品を展示しました。また、会場内には、絵画及び漆工品の修復過程を紹介したパネルも展示し修復作業の様子が分かるようにしました。いずれの作品も、所蔵館において展示可能な状態に修復されており、当研究所の国際貢献・協力を皆さんにご理解いただく良い機会となりました。今後もより一層の国際貢献・協力に寄与すべくこの在外日本古美術品保存修復協力事業を推し進めてまいります。
『保存科学』掲載記事のインターネット公開
『保存科学』は、当研究所の研究員が行う文化財の保存と修復に関する自然科学的な研究成果や受託研究、また館内環境調査などの報告を掲載した雑誌です。1964年3月、当時の保存科学部長・関野克氏による「文化財保存科学研究概説」に始まる第1号の創刊以来約40年間、我々は先人の遺した貴重な文化財を将来の世代に伝えるという使命感を持って研究に携わり、その成果を公表し続けてきました。最新の第47号では、高松塚古墳や敦煌莫高窟壁画の保存・調査に関するものを始め、25本の報文・報告を掲載しています。
冊子体の『保存科学』は非売品で、関係機関や大学などでの閲覧に限られていますが、どなたにも自由に触れていただくために、これまでのすべての記事を電子ファイル化(PDF版)して、インターネット(http://www.tobunken.go.jp/~ccr/pub/cosery_s/consery_s.html)からダウンロードできるようにしています。我々が一体どのような仕事をしているのか知っていただくためにも、多くの方にアクセスしていただければ幸いです。
建造物などに使用する漆塗装の耐候性向上に向けた屋外の暴露実験


保存修復科学センターでは、「伝統的修復材料および合成樹脂に関する調査研究」プロジェクト研究の一つとして、建造物などに使用する漆塗装の耐候性向上に向けた基礎実験を昨年度より継続しています。4月17日から4月18日にかけて、北海道大樹町内航空公園内の屋外暴露実験台に据え付けた朱漆と黒漆の各種手板試料の劣化状態の経過観察を行ないました。今回の現地調査は8ヶ月目の点検であり、漆塗装の種類による劣化状態の違いがしだいに明確になってきました。暴露実験台をこの地点に設置した理由は、北海道大樹町内は全国でも晴天率が高いこと、気象データの入手がし易いこと、さらには寒暖の年較差が高いこと、などが理由です。なお、この屋外暴露実験による紫外線劣化の経過観察は、第一期として本年8月までの一年間を予定しています。
「文化財の保存環境の研究」研究会-金属試験片曝露による環境モニタリング

研究プロジェクト「文化財の保存環境の研究」は、文化財を取り巻く環境の調査・解析手法を確立し、保存環境の現状把握と改善を目指しています。今回は、大気汚染や内装材料の文化財への影響評価のための金属試験片曝露調査について、その歴史や限界を論じました(2008年3月3日、参加者33名)。増子昇氏(東京大学名誉教授)には、窒素酸化物、硫黄酸化物、火山性ガス、海塩粒子等の文化財影響について、金属学分野の研究を基にご講演いただきました。また、当所名誉研究員門倉武夫氏は金属片曝露による文化財影響試験の歴史について、犬塚研究員は室内環境が文化財に与える影響を総体として評価するドシメーター(曝露計)の開発例について報告しました。今後の研究協力・研究の進展に有益な研究会となりました。
在外日本古美術品保存修復協力事業におけるベルリンの紙の修復工房開設準備

保存修復科学センターでは、3月24日(月)から26日(水)にかけて、ベルリンにある、ドイツ技術博物館の紙の修復工房内において、在外日本古美術品保存修復協力事業の一環として、平成20年から開始予定の紙の修復作業に関する現地調査を実施しました。ドイツ技術博物館の紙の修復工房では、通常、ポスターや、図面類などの修復作業を実施しており、紙の修復作業に必要な設備や道具類は一通りそろっています。今回はそれらの設備、道具類が機能的に満足するかどうかを調査するとともに足りない設備や道具類を把握する作業を実施しました。今回の調査結果を元にして、設備を整え、ベルリンにおける紙の修復作業が円滑に進められる様に準備を進めています。
第31回文化財の保存および修復に関する国際研究集会

2月5日から7日にかけて、東京文化財研究所セミナー室において第31回文化財の保存および修復に関する国際研究集会を開催致しました。今年度は保存修復科学センターが担当し、「文化財を取り巻く環境の調査と対策」というテーマで、海外から7名、国内から8名の研究者による講演が行われました。
国内の発表者からは、主に今年度解体が行われた高松塚古墳に関する温湿度制御、微生物対策等に関する講演が行われました。一方海外からは、同様の問題に取り組んでいるラスコー洞窟壁画についての講演も行われ、有意義な討議を交わすことができました。さらに、他の装飾古墳の保存対策、国際的な文化財保存の取り組み、非接触調査法に関する情報交換や意見交換も行いました。
第1回伝統的修復材料および合成樹脂に関する研究会「漆芸品に用いられた金属の劣化」


保存修復科学センター伝統技術研究室では、2月27日(水)に当研究所セミナー室において「漆芸品の用いられた金属の劣化」を開催しました。当日は、伝統技術研究室の北野と保存科学研究の佐野千恵室長のほか、関西大学文学部教授・博物館館長の高橋隆博先生、漆芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の北村昭斎先生、宮内庁正倉院事務所の成瀬正和先生の3名をお招きし、ご講演いただきました。近年、蒔絵粉や覆輪金具などのような漆芸品に用いられた金属の劣化に関する問題が話題となりつつあります。そのためか当日は年度末にもかかわらず多数の出席者がありました。研究会ではまず北野の劣化が著しい近世の出土蒔絵の話からはじまり、高橋先生からは漆工史の視点から日本や中国・朝鮮半島における金属が用いられた漆芸品の歴史と技法に関する解説をいただくとともに、博物館の立場からどのような点に注意しておられるかについてのお話がありました。引き続き、北村先生からは修復家の立場から実際に先生が手がけられた国宝・重要文化財の漆芸品の修復や復元模造について詳細で貴重なお話があり、実際に作業された方にしかわからない細かい点まで含めてご紹介いただきました。成瀬先生からは分析化学の立場から正倉院御物の漆芸品を中心とした古代から中世の漆芸品に用いられた金属の分析結果とそれらの劣化状態についてのお話をいただきました。最後に佐野室長からは保存科学の立場から博物館施設の保管環境や木製保管箱と金属の劣化との関係に関する話題提供がありました。講師の先生はお三方とも、実践を踏まえてのお話であっただけに、説得力もあり、会場からは、さまざまな質問が出て大変盛会でした。
IPM研修
川崎市との共催で、平成20年1月31日、川崎市民ミュージアム講義室でIPM研修をおこないました。講義は、「IPMの基本的考え方」と「対策の進め方」の2コマでしたが、参加人数が少なく小さな集まりでしたので、ロの字に組んだ机を講師と受講者が囲む形式となり、くつろいだ様子で受講いただけました。ムシの観察なども大きな会場では難しいのですが、今回はルーペを皆で覗きながら経験を交流でき、特にサイトミュージアムでは問題となるハチ対策などについても、各館の連携を助長できた点などがこれまでにはなかった経験でした。次々と質問があり、具体的な清掃方法についても実地に材料・道具を触りながら研修できたりなど、小集団への研修方法としておもしろい経験となりました。
第21回近代の文化遺産の保存修復に関する研究会「航空機の保存と活用」

保存修復科学センター近代文化遺産研究室では、1月25日(金)に当研究所セミナー室において「航空機の保存と活用」を開催しました。当日は、イギリス海軍航空隊博物館の航空部門学芸員兼主任技術者のデイブ・モリス氏、日本航空協会の長島氏、平山郁夫美術館の平山助成館長の3氏をお招きし、ご講演いただきました。
デイブ・モリス氏からは氏が手掛けられたコルセアの修復について詳細なお話があり、実際に作業された方にしかわからない細かい点まで含めてご紹介いただきました。長島氏からは、航空遺産の保存について所沢航空発祥記念館に展示されている91式戦闘機の保存を例にとりながらお話しいただきました。平山館長からは、館長が以前海上自衛隊鹿屋航空基地修理所に所属されておられた時に、現在の南さつま市において海中より引き上げられた零式3座水上偵察機の保存処理について、当時の資料を使ってお話しいただきました。お三方とも、実践を踏まえてのお話であっただけに、説得力もあり、会場からは、さまざまな質問が出て、予定した時間を大幅にオーバーする程の盛会でした。
高校生の所内見学
当研究所には、国内外から様々な方が施設見学に訪れます。最近は、中学校や高校からの見学も増えています。12月には品川女子学院高等部と島根県立益田高校からそれぞれ約20人の高校生がやってきました。保存修復センターの旧保存科学部門では、犬塚研究員が高松塚古墳墳丘の冷却方法を検討するために行った石材や土の物性測定や温度変化のシミュレーションなどの話をしました。また、吉田は文化財の彩色に使われる色材の種類を触らずに分析する方法である蛍光X線法と、実際にこれを用いて行った絵画の色材分析についてパネルを使って説明しました。応用科学的な内容ですので、高校生にはやや難しかったかも知れませんが、若い人の「理科離れ」が問題となっているなかで、彼らが今習っている物理や化学、また生物などがこのような分野で活かされているということが分かっていただければ幸いです。
江袋教会の焼損調査と修復指導



長崎県教育委員会の要請により、新上五島町にあり、昨年2月に焼損した江袋教会の現地調査及び修復方針及び方法に関して指導を実施しました。江袋教会は明治15年(1882年)に建立された、木造瓦葺き平家建てで、長崎県内では最古と思われる木造教会であり、海を見下ろす急傾斜の山腹に建てられていました。屋根は単層構成、変形寄棟作りで構造的にも貴重なものとされていました。それが昨年(2007年)2月に漏電が原因で焼損しました。焼損したものの、立て替えてしまうよりは、使える部材は少しでも救いたいという地元の信者の皆様の願いにより、東京文化財研究所保存修復科学センターでは、現地の調査を実施し、比較的焼損の程度が軽い部材に関して、樹脂含浸を施し、利用できるようにするなどの修復指導を実施しました。
研究会「木質文化財の劣化診断」
保存修復科学センターでは、文化財の生物劣化対策の研究の一環として、平成19年11月19日、研究所セミナー室において表記の研究会を行いました。今回は「文化財建造物の劣化診断と維持管理 –診断例とその対策、今後期待される技術-」と題して、京都大学の藤井義久氏から、広い範囲の最新の診断技術と実例についてわかりやすくお話をいただきました。また、九州国立博物館の鳥越俊行氏からは、「木彫像内部の生物被害を見る -文化財用X線CTによる非破壊劣化診断-」として、CTが木彫像などの虫による被害の検出を含むさまざまな情報を得る強力な手段であることを、カナダ保存研究所のTom Strang氏より、「温度処理による殺虫処理のポリシーと、木質文化財に与える影響の科学的評価」についてお話いただきました。(参加者60名)
韓国南東部における共同調査―日韓共同研究

東京文化財研究所では、石造文化財を対象とした環境汚染の影響と修復技術の開発研究について、大韓民国・国立文化財研究所と共同研究を進めています。今回は、森井順之・張大石(東北芸術工科大学)の2名が、11月20日から24日までの5日間、韓国南東部(慶州・大邱)の石塔や石仏などを対象に、石造文化財保存修復の現状を調査しました。
慶州では感恩寺三層石塔(国宝)などの石塔の調査を実施しました。感恩寺三層石塔は韓国では珍しく凝灰岩製の石塔ですが、風化による損傷が多く見られ、国立文化財研究所の直轄で解体修理が行われております。今回は修復現場を訪問し、韓国側研究者と修復材料や技法に関する議論を行いました。また、翌日は大邱に移動し第二石窟庵(国宝)などを訪問しました。崖地に仏龕を掘り花崗岩製の仏像彫刻を安置していますが、仏龕内部における漏水や仏像彫刻表面の層状剥離など劣化機構の解明や、将来の保存修復方案について今後議論を行うこととなりました。
また、23日には国立公州大学校で開催された「石造文化財の保存に関する国際研究集会」に参加し、東京文化財研究所が国宝及び特別史跡・臼杵磨崖仏において実施している調査について講演を行いました。講演後は、多くの研究者から質問や助言を頂戴し、今後の参考となりました。
「保存担当学芸員フォローアップ研修」の開催

表題の研修は、毎年7月に2週間行っている「保存担当学芸員研修」の修了者を対象に、最新の保存技術などを伝える目的で毎年1回行っているものです。今年は、10月29日に開催し、過去24回の修了者約540名のうち62名の方が多忙の合間を縫って参加しました。今回のフォローアップ研修では、3名の修了者の方に、それぞれの勤務館に於いて、東京文化財研究所と協力して館内環境改善に取り組んだ成果をお話しして頂き、弊所の担当研究員が解説するという構成で行いました。参加者の方にとっては、他館での実践を直に聞く少ない機会であり、自身の取り組みとも重ね合わせ、皆興味深く聞き入り、そして活発な議論・意見交換が交わされました。我々にとっても、学芸員研修をはじめとする活動が実を結んだことは嬉しい限りで、今後も様々な形で、文化財保存環境に関する情報を発信していきたいと考えています。