「壁画の応急処置に関する研修」の開催に向けた現地調査(トルコ共和国)

S.T. Theodore教会の現状
ガーズィ大学での事例発表

 文化遺産国際協力センターでは平成29(2017)年6月12日から24日にかけて、トルコ共和国にて今年の秋以降に開催を予定している「壁画の応急処置に関する研修」に向けた視察調査および関係者との打合せを行いました。今回の視察調査の主な目的は、トルコ国内の壁画保存の現状を把握することや、研修事業の一部に組み込まれる実地研修に相応しいサイトを特定することでした。黒海沿岸に位置するトラブゾンの教会群やカッパドキアのギョレメ地区周辺に点在する岩窟教会群を対象に約15箇所の壁画を調査し、研修事業の内容を充実させるうえでの貴重な情報を得ることができました。
 また、本事業を進めるうえで昨年度よりご協力をいただいているガーズィ大学芸術学部保存修復学科およびネブシェヒル保存修復センターを訪問した際には、トルコにおける壁画の保存修復に関する事例発表をしていただき、研修事業に参加する講師陣とともにその内容に関して有意義な意見交換を行うことができました。
 第1回目となる研修は10月の開催を予定しています。本事業には日ごろよりトルコの文化財保護活動に従事されている専門家の方々が参加されます。これまでの取り組みに加えて、新たな視点から捉えた文化財保護のあり方を考える良い機会にしていただけるよう研修事業を進めていきたいと思います。

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