イストリア地方における壁画保存に向けた共同研究

教会でのチェックシートを活用した壁画の状態調査
現地専門家との協議風景

 クロアチアの北西部に位置するイストリア地方では、中世からルネサンス期にかけて数多くの壁画が教会内に描かれました。その数は、現在確認されているだけでも150件にものぼりますが、それらの保存や維持管理については深刻な問題を抱えています。文化遺産国際協力センターでは、こうした現状の改善に向け、保存状態の記録方法の構築に向けた調査研究を、クロアチア文化メディア省美術監督局、イストリア歴史海事博物館、ザグレブ大学と共同で進めています。
 令和6(2024)年3月4日~8日にかけて現地を訪問し、壁画の保存や維持管理に従事する専門家が効率的に活用できるものであることを念頭に、保存状態に係るチェックシートの作成及び、イストリア半島中央に位置する2つの教会壁画を対象にした導入テストを実施しました。その結果、短時間で正確な情報が得られるとともに、今後の壁画保存に向けた方針を立てるうえでも活用できるものであることが確認できました。
 今後は、より完成度の高いものとなるようチェック項目の記載内容について協議を進めながら導入テストを繰り返し、デジタルアーカイブの構築を目指します。

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