セインズベリー日本藝術研究所での協議と講演会、ロンドンにおける関連施設の視察

ヴィクトリア&アルバート美術館National Art Libraryの視察
セインズベリー・センターでのギャラリートーク

 東京文化財研究所とイギリス・ノリッチ(Norwich)に所在するセインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures; SISJAC)は平成25(2013)年に共同事業の覚書を交わしました。SISJACの職員から日本国外における日本美術の研究に関する文献や展覧会情報を定期的に提供してもらうほか、例年は文化財情報資料部の研究員が渡英し現地での研究協議や講演会を行ってきました。令和2(2020)年から昨年までは現地への訪問が叶わずオンラインでの協議を実施してきましたが、この度、文化財情報資料部文化財アーカイブズ研究室長・橘川英規と文化財情報資料部主任研究員・米沢玲の2名が3年ぶりに渡英し現地の視察や協議、講演会を行いました。
 11月14日、15日、17日にはロンドンで美術図書や資料の専門施設を視察しました。ナショナル・ギャラリー、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、ロンドン大学コート―ルド美術研究所、ヴィクトリア&アルバート美術館の各施設に付設する美術専門図書室や写真アーカイブ、さらに大英図書館、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)といった充実した日本資料のコレクションを所蔵する図書館を訪れ、担当者から施設の案内や資料を紹介してもらい、一部の機関とは共同プロジェクトの可能性について協議しました。この一連の視察は、SISJACの平野明氏にご調整いただき、同氏と林美和子氏にもご同行いただきました。
 11月16日にはSISJACにおいて研究協議を実施したのち、午後からは米沢がセインズベリー視覚芸術センター(Sainsbury Center for Visual Arts)においてギャラリー・トークと講演会を行いました。イーストアングリア大学に付属しているセインズベリー・センターには、SISJACの創設者であるロバート・セインズベリーとリサ・セインズベリー夫妻のコレクションが収蔵されており、日本の古美術作品も含まれています。展示室では仏像と神像に関するギャラリー・トークを行い、続いて地下の会議室で「東京文化財研究所の活動と羅漢図の調査研究」と題した講演会を行いました。現地の一般聴衆のほか、SISJACを来訪していた日本の関係者も参加し熱心に耳を傾けていました。米沢は10月から客員研究員としてSISJACに滞在しており、令和6(2024)年2月まで現地での調査研究に取り組む予定です。

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