エントランスロビーパネル展示「文化財の修復に用いる用具・原材料の現在」の開始

展示解説の様子
エントランスロビー展示風景

 東京文化財研究所では、調査研究の成果を公開するため、1階エントランスロビーでパネルを用いた展示を行っており、令和5(2023)年6月5日からは「文化財の修復に用いる用具・原材料の現在」の展示が新たに始まりました。
 文化財を後世に伝えていくために、保存・修復の技術は欠かせないものですが、そこに使われる材料や道具の確保が困難なものが増えてきています。後継者不足や社会的な環境の変化によるものですが、緊急性の高い事案のため、現在文化庁と連携しつつ調査研究を遂行しています。使用されている材料の科学的な解明や問題点に関する科学的解決方法の提案、文化財修復の現場でのそれらの使用方法の把握、材料・道具の製作技術の記録などを行い、これらと過去の修理報告書のアーカイブ化を包括的に進めています。この事業は、このように多様な業務が関わるため、研究所内で横断的に連携を取りつつ遂行されており、まさに東文研の強みを活かした研究となっています。
 今回の展示では、掛軸の装丁に欠かせない宇陀紙の原材料と、彫刻修理に欠かせない彫刻刃物を中心的に取り上げています。どちらも代替のないものですが、途絶の危機にあり、研究対象としています。また、東京文化財研究所では保存科学研究センターを中心に日本の伝統材料についての科学的な解明を以前から遂行していたため、本事業と関連する成果についても今回、併せて展示しています。文化財修復に関連する材料・用具の奥深さと、研究の成果の幅広さをこの展示を通じて感じて頂ければ幸いです。(入場無料、公開は月曜日~木曜日(金曜〜日曜日・祝日をのぞく) の午前9時~午後5時30分)。
https://www.tobunken.go.jp/info/panel/230605/

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