デジタルデータの長期保存について―令和5年度第3回文化財情報資料部研究会の開催

OAIS参照モデル(PDFファイル)

 令和5(2023)年6月27日に、「デジタルデータの長期保存について」と題して文化財情報資料部主任研究員・小山田智寛が発表を行いました。社会や産業の多くの領域でデジタル化が止まらない現在、生みだされるデジタルデータの長期的な保存が重要であることは言うまでもありません。デジタルデータの保存については技術的な検証が様々にされており、長期保存用の記録メディアなども販売されています。しかしデジタルの領域で、私たちは多くの記録メディアや、その再生機器が市場から姿を消していったのを目の当たりにしています。デジタルデータの保存に関しては、技術面の不安定さを運用で補う状況がいまだに続いている状況と言えます。
 本発表では、デジタルデータの長期保存について技術面、運用面から検証を行いました。技術面については代表的な記録メディアとしてBlu-ray Disc、磁気テープ、HDD、SSDを取り上げて比較し、運用面についてはデジタルデータの長期保存に関する国際規格であるOAIS参照モデルの内容を確認いたしました。最後に技術面、運用面の負担の少ない長期保存システムの私案を報告し、検討いたしました。
 東京文化財研究所では、貴重な文化材についてのデジタルデータを作成し、ホームページ等で公開しています。これらのデジタルデータをいつまでも利用できるよう、デジタルデータの保存についても調査を続けてまいります。

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