イラク人保存修復専門家の研修事業(2)

真空凍結乾燥処理後の遺物のクリーニング作業(静岡県埋蔵文化財調査研究所)

 3ヶ月にわたるイラク人専門家への保存修復の研修は順調に進み、これまでにほぼ半分が終了しました。
 9月末から10月末にかけ、4名の研修生は東京文化財研究所での保存修復に関する基礎講義と乾燥した木製遺物の保存修復の実習に参加しました。つづく10月29日から11月9日には、(財)静岡県埋蔵文化財調査研究所の協力を得て、遺跡から出土した水浸木材の保存修復について研修を行いました。静岡市駿府城内遺跡(15~16世紀)の発掘現場では、実際に液体窒素や発泡ウレタンを使った脆弱な木製遺物の取り上げ作業を経験したほか、静岡県埋蔵文化財調査研究所・清水事務所では、実際の出土遺物に対して、PEGや凍結乾燥による強化処理や、クリーニングや接合、補彩といった一連の保存修復の作業に携わりました。
 今後、奈良文化財研究所において保存修復の作業に用いられるさまざまな機材についての研修を受け、最後に今回の研修の成果についての報告を行ない、研修を修了する予定です。

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