「第59回オープンレクチャー かたちを見る、かたちを読む」開催
講演風景(藤岡奈緒美氏)
名古屋城本丸御殿障壁画の帝鑑図(ガラス乾板)
文化財情報資料部では、研究の成果を一般の方に向けて発表する機会として、毎年秋に「オープンレクチャー」を企画しています。このたびの「第59回オープンレクチャー かたちを見る、かたちを読む」は、令和7(2025)年11月13日、14日の2日間にわたって、東京文化財研究所セミナー室で開催し、4名の研究者が講演をおこないました。
1日目の講演のうち、「「銘文」を考える」(文化財情報資料部研究員・月村紀乃)では、作品研究において重要な手がかりとなる「銘文」に注目し、文字の形状や字種ごとの出現頻度という観点から、刀剣の銘文を捉え直す研究手法を提案しました。また、「画僧 風外本(ふうがいほん)高(こう)の絵画制作」(島根県立美術館学芸員・藤岡奈緒美氏)では、出雲国(現在の島根県)に多くの絵画作品を残した風外本高を取り上げ、その主題選択や描画技法に、版本や池大雅の存在が強く影響を与えていることが示されました。
2日目の講演では、「タイに渡った蒔絵工―鶴原善三郎と三木栄―」(文化財情報資料部文化財情報研究室長・二神葉子)で、20世紀初頭にタイに招かれた二人の日本人蒔絵工を題材に、従来知られていなかったタイ王室での待遇や漆工品制作などについて紹介しました。また「「帝鑑図」とは何か」(文化財情報資料部客員研究員・薬師寺君子)では、東京文化財研究所で所蔵するガラス乾板等の資料を使い、中国で出版された『帝鑑図説』の挿絵が、日本で帝鑑図として受容されていく過程を読み解きました。
講演には両日合わせて126名の参加者がありました。アンケートでは、回答者のおよそ9割から「たいへん満足した」、「おおむね満足だった」との評価が得られ、自由記述欄からも、講演内容への満足度の高さがうかがわれました。
