絵金屏風の返却を終えて
積込の様子
平成22年に誤った薬剤によるガス燻蒸で変色し、当所を交えて関係各所で対応方針について協議し決定した方法に基づき、画面の安定化処置等を平成24年から進めてきた絵金屏風5点が、4月17日に絵金蔵(高知県香南市)に返還されました(当所搬出は4月14日)。作品の安全を第一に、画面の安定化処置として(1)屏風装の解体、本紙の薬剤除去のためのクリーニング、(2)絵具層の剥落止め、本紙補修、本紙裂けの手当て、裏打紙の取り替え、補修個所への補彩、(3)下地、襲木、裏貼唐紙、金物等の新調、二曲屏風への仕立て が行われたものです。各屏風は、ガスバリア袋、屏風袋、段ボール装の順に梱包され、美術品専用車で陸路、搬送されました。
返還者の公益財団法人熊本市美術文化振興財団の立会いの下、5点の屏風が無事に収蔵庫に収められ、絵金蔵運営委員会、赤岡絵金屏風保存会、高知県および香南市の関係者の方々はお喜びの様子でした。あいにくの雨天でしたが、トラックが到着し作品を搬入する間は雨が止み、関係者のみなさまの気持ちが通じたかのような天候でした。今後は、絵金蔵における保存環境について助言をしていく予定です。