シンポジウム『シリア内戦と文化遺産―世界遺産パルミラ遺跡の現状と復興に向けた国際支援―』

ISによって破壊されたパルミラ博物館の収蔵品(ロバート・ズコウスキー氏提供)

 中東のシリアでは、2011年3月に起きた大規模な民衆化要求運動を契機に内線状態へと突入し、すでに5年の月日が経過しています。シリア国内での死者は25万人を超え、480万人以上が難民となり国外へ逃れています。
 シリア内戦下では、貴重な文化遺産も被災し、国際的に大きなニュースとして報道されています。とくに昨年8月から10月にかけて起きたIS(自称『イスラム国』)による世界遺産パルミラ遺跡の破壊は、日本国内でも大々的に報道され注目を集めました。
 東京文化財研究所は、文化庁、奈良文化財研究所、公益財団法人アジア文化センター文化遺産保護協力事務所と共催で、11月20日と11月23日に東京国立博物館および東大寺金鐘ホールにて、シンポジウム『シリア内戦と文化遺産―世界遺産パルミラ遺跡の現状と復興に向けた国際支援―』を開催しました。
 パルミラ遺跡は2015年5月からISによって実効支配されていましたが、2016年3月にシリア政府軍が奪還、4月にポーランド人研究者やシリア人研究者がパルミラ遺跡に入り現地調査を行いました。彼らは、パルミラ遺跡とパルミラ博物館の被災状況を記録したほか、被災した博物館の収蔵品に対し応急処置を施し、ダマスカスまで緊急移送を行いました。
 今回のシンポジウムでは、現地で生々しい状況を目にしたポーランド人研究者やシリア人研究者のほか、国内外の専門家やユネスコ職員が一同に会し、パルミラ遺跡を含む被災したシリアの文化遺産の復興に向けてどのような支援が効果的なのか、討議を行いました。

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