第40回世界遺産委員会への参加

会場となったイスタンブール・コングレス・センター
審議の様子

 第40回世界遺産委員会は2016年7月10日からトルコのイスタンブールで開催され、当研究所からは2名の職員が参加しました。
 国立西洋美術館を構成資産に含む「ル・コルビュジエの建築作品」は2009年以来3回目の審議で、今回は諮問機関が世界遺産一覧表への記載を勧告していたため、翌日の審議がほぼ確実となった7月15日夕方には、関係者の間でも記載への期待が高まりました。しかし、15日夜から16日未明にかけての軍によるクーデター未遂の影響で、16日の審議は中止、1日遅れて17日に記載が決議されました。審議時間短縮のため記載勧告案件では委員国の発言が認められず、この推薦に対する各国の意見を聞けなかったのは残念です。
 ところで、今回の世界遺産委員会での審議対象の推薦から、諮問機関による中間評価が関係締約国へ通知されるようになりました。評価を受けて締約国は推薦書を改訂し、最終評価に臨むことが可能です。締約国の対応は分かれました。推薦を取り下げる締約国がある一方、推薦書を大幅に改訂して審議に臨み、諮問機関の勧告を覆して記載が決議された例もあり、今後も推薦とその評価のあり方を巡っての議論が続くと思われます。
 なお、委員会の会期は7月20日までの予定でしたが、17日でいったん中断されました。委員会は2016年10月24日~26日にパリのユネスコ本部で再開され「紀伊山地の霊場と参詣道」を含む世界遺産一覧表記載資産の軽微な範囲の変更や、作業指針の改訂などに関する審議が行われる予定です。

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