国際研修「困難な状況下にある文化遺産管理のためのリーダーシップ研修 」の受講

ファンド(助成金)に関する講義(Photo by Almicheal Fraay)
プレゼンテーションの様子
受講生と講師・スタッフ(Photo by Almicheal Fraay)

 令和5(2023)年9月24日〜29日にオランダ・ハーグにて開催された「困難な状況下にある文化遺産管理のためのリーダーシップ研修(Leadership Course for Cultural Heritage Stewards in Challenging Circumstances)」へ保存科学研究センター修復技術研究室研究員・千葉毅が参加しました。
 この研修は、Cultural Emergency Response(文化遺産防災・救援のための国際NGO・NPO、本部はオランダ・アムステルダム、https://www.culturalemergency.org)およびSmithsonian Cultural Rescue Initiative(スミソニアン協会による文化遺産防災事業、https://culturalrescue.si.edu)が主催するものです。平成30(2018)年から年に一度開催され、今年で5回目となります。今年の参加者は14名で、日本からの参加は今回が最初とのことです。
 研修は、大きく「企画提案」及び「チームでの企画運営」の二つの側面を持ち、それぞれにおいて各分野の専門家による講義が行われました。
 企画提案の研修では、危機に瀕する文化遺産保護に関するプロジェクトを企画、提案し、外部からの助成・支援を受けるために効果的なショートプレゼンテーションに関する研修が行われました。3〜4名のグループによるプロジェクトと個人によるプロジェクトを企画し、研修最終日には、実際の助成機関担当者4名の前で発表し、彼らからの質疑応答、改善提案等の講評を受けます。
 チームでの企画運営の研修は、構成メンバーの「強み」を分析し補完し合うアイデア、効果的なチーム運営をするためのリーダーシップ、メンタルヘルスを健康に保つための態度等といった内容です。
 参加者の所属国は以下の通りです。日本、アメリカ、バルバドス、ペルー、ベトナム、アフガニスタン、ジョージア、トルコ、ウクライナ、ナイジェリア、カメルーン、ナミビア、レソト。

 日本では、これまで文化財保護に関するファンドへの関心があまり高くなかったように思われ、このような内容を扱った研修もほとんどありませんでした。しかし、文化財をめぐる状況が多様に変化する中、今後の文化財保護、文化財防災では重要さが増してくるものと考えています。
なお、この度の受講内容は、近日中に広く共有させていただく予定です。

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