国宝「彦根屏風」調査報告書編集

 彦根藩主井伊家に伝わったことから「彦根屏風」と称されてきた「風俗図」は、物語性を感じさせる構図、人物や調度に見られる精緻な描写など見どころの多い作品ですが、作者や制作背景には不明な点も多く、「屏風」と言われながら、各扇にあたる6枚が分離して伝存してきたことにも様々な解釈が寄せられてきました。平成18年度から2ヶ年の予定で、文化庁および滋賀県の補助事業としてこの作品の修理が行われるため、これを機会に彦根城博物館と当所ではこの作品の共同調査研究を行い、高精細デジタル画像、赤外線や可視域内励起蛍光画像を撮影するとともに、蛍光X線分析を行いました。現在、その成果をまとめた報告書を編集中で、9月28日から10月26日まで彦根城博物館で行われる「よみがえった国宝・彦根屏風と湖東焼の精華」展にあわせての刊行を目指しています。同展では高精細画像の展示やシンポジウムも行われ、修復後の作品とともに、修理の過程や調査によって明らかになった点が公開される予定です。

to page top