研究会の開催

 企画情報部では毎月、研究会を開催し、研究プロジェクトの進捗状況や成果の一端について研究発表を行っています。12月は26日(水曜日)3時から企画情報部研究会室において津田徹英が研究プロジェクト「美術の技法・材料に関する広領域的研究」の成果の一環として「平安末期の在地造像をめぐる小考」のタイトルで発表を行いました。これは、平安末期における「定朝様式」の地方受容に関して、その表現や技法に関して都鄙間で大差が認められないことの解釈をめぐって、これまで造像する側の仏師の技術論に収束しがちな問題を受容者サイドの問題として捉え直し、都鄙双方に活動基盤を持ち、双方を往還して活動を行った「地下官人」の存在に着目しつつ、かれらが在地造像の主体者となることで地方における文化レベルを引きあげ、中央作に準じた「みやび」な作風を示す在地造像がなし得たのではないかという仮説に基づき、その一端を造像当初の天蓋・光背・台座をよく残す滋賀県下の浄厳院阿弥陀如来像とその周辺作品に及びながら明らかにしようとした試論です。発表後、出席者から問題点の指摘など活発な意見交換がおこなわれました。

to page top