「第17回資料保存地域研修」の開催

佐藤嘉則研究員による「生物被害」講義の様子

 保存修復科学センターでは、様々な研究会や研修会を通じて、博物館・美術館・資料館において資料保存に従事している方々に、そのための知識や技術に関する情報をお伝えしています。「資料保存地域研修」は、私たちが毎年一回、特定の地域にうかがい、その地域の保存担当者の方々を対象に1日の日程で開催する研修会です。今年は岡山県博物館協議会との共催で、10月16日岡山県立美術館を会場にして実施しました。参加者は56名を数えました。当センターからは佐野千絵(保存科学研究室長)、佐藤嘉則(生物科学研究室研究員)、吉田直人(主任研究員)が講師を担当し、「保存環境総論」「温湿度」「空気環境」「光・照明」「生物被害」という内容をお話ししました。この研修は、私たちが毎年東京で実施している2週間の「博物館・美術館等保存担当学芸員研修」に参加することのできない方々からも、大変に好評を頂いています。ただ、私たちの話はともすれば推奨される保存環境や設備といった内容となりますので、しばしば「そのような設備が無いところではどうするのか?」という質問が出されます。もちろん、それぞれの博物館や美術館には個別の事情がありますので、一つの答えを呈示することは困難です。このような現実を認識し、今後も日常の研究を充実させ、様々なケースにお答えできるようにしていきたいと考えています。

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