第15回国際石材保存修復会議(Stone 2025)における研究発表

口頭発表の様子
スタディツアーで訪問したノートルダム大聖堂

 令和7(2025)年9月8日から12日にかけて、フランス・パリのソルボンヌ大学で開催された「第15回国際石材保存修復会議(Stone 2025)」に参加し、口頭発表を行いました。
 石材や煉瓦で構成される彫刻や建造物の保存修復に関する国際的な会議で、4~5年ごとに開かれています。会議には、石材や煉瓦の劣化現象を研究する保存科学者や地質学者、保存修復の実務に携わる技術者、建築学・建築物理の専門家など多彩な参加者が出席しました。発表内容は、大気汚染や塩類風化による損傷の基礎研究や調査技術、新しい修復技術や保存処置の実践例、さらには持続可能な保存に向けた環境制御や気候変動の影響評価に至るまで幅広く、学際的な議論が交わされました。
 今回の発表では、保存科学研究センター・保存環境研究室で実施している岩窟内に建てられた仏堂の保存を目的とした岩窟内の空調に頼らない湿気環境改善の試みについて報告しました。発表後には、同様に高湿度環境に課題を抱える文化財の保存に携わる研究者や、持続可能な保存環境制御に関心を持つ研究者から多くの質問や意見をいただき、今後の共同研究の可能性についても意見交換を行うことができました。
 今後も研究成果の国外発信を積極的に行うとともに、各国の最新の知見を収集し、日本の文化財保存に活かしていきたいと考えています。

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