バーレーン王国における文化遺産の3Dデジタル・ドキュメンテーションとその活用に関するワークショップ「建造物の3次元計測」開催
文化遺産国際協力センターとバーレーン文化古物局は、令和7(2025)年10月28日から30日にかけ、3Dデジタル・ドキュメンテーションに関するワークショップをバーレーン王国国立博物館で共催しました。このワークショップは、文化遺産の保護における3Dデジタル・ドキュメンテーションの導入を進めているバーレーン王国から技術移転の要請を受けて始まったもので、これまでにバーレーンでのワークショップや日本でのスタディーツアーを開催しています。今回のワークショップでは、中級者向けに「建造物の3D計測」をテーマとし、バーレーンから11名、アラブ首長国連邦から2名、計13名の文化遺産担当の専門職員らを参加者として迎えました。
初日は、建造物の3D計測の撮影手法やデータの活用事例に関する講義の後、世界遺産「真珠の道」にあるファクロ邸を実習会場として、参加者自身が3D写真測量やスマートフォンのLidar機能を用いた建造物の記録に取り組みました。2日目は、午前に国立博物館の展示室を3Dレーザースキャナーで記録する実習を、午後にジャナビーヤ古墳群で3D写真測量とRTK-GNSS測量を用いた遺跡の計測手法を学ぶ実習を行いました。最終日には、前日に記録した3D計測データを活用するための実習を行いました。参加者らは、前日に自分たちで記録した博物館展示室の3D計測データを用いて、オンラインで公開可能なデジタル博物館のコンテンツを作成し、さらに、前日に撮影した写真からジャナビーヤ古墳群の3Dモデルを作成して、産業技術総合研究所と奈良文化財研究所が共同で開発した全国文化財情報デジタルツインプラットフォーム「3D DB Viewer」上で公開する実習を行いました。
参加者らは、考古学や建築学など各自の専門分野において、日常の業務でこうした技術を発展的に活用しようという意欲が高く、熱心に実習に取り組んでいました。さらに発展的な内容のワークショップの開催についても参加者から要望が寄せられており、今後もバーレーン側のニーズに合わせながら知見共有の場を継続していきたいと思います。
本ワークショップは文化庁委託「デジタル技術を用いたバーレーンおよび湾岸諸国における文化遺産の記録・活用に関する拠点交流事業」の一環として行っています。
