長谷川公茂氏旧蔵円空資料の寄贈

資料の一部
資料整理の様子

 長谷川公茂氏(1933〜2023)は、在野の研究者として江戸時代の仏師・円空の研究に生涯に亘って取り組み、長く円空学会の理事長を務めました。円空(1632〜95)は修験道の僧侶として全国を行脚し、訪れた土地で造った仏像は現在でも全国に数千体が残されています。長谷川氏の没後にご遺族から寄贈の相談を受けて、文化財情報資料部の米沢玲が奈良国立博物館の三田覚之氏とともに資料の整理のために定期的に愛知のご自宅を訪れて作業をしてきましたが、令和6(2024)年10月に正式に寄贈を受けたのち、このたびすべての資料を受け入れることができました。全国の円空仏を訪ね歩き、写真撮影や調査記録の作成を続けてきた長谷川氏のご自宅には膨大な資料が遺されていました。入手が困難な文献資料や各地の円空仏の写真資料はもちろん、中には盗難などによって失われた作品の写真も含まれており、円空研究においてまさに一級の資料群といえます。整理作業には東京文化財研究所の江村知子、田代裕一朗、黒﨑夏央、そして関西学院大学の大﨑瑠生氏が参加した他、生前の長谷川氏と円空研究を共にした舩橋昌康氏、加藤奨氏、落合克吉氏にご協力をいただきました。多くの人に活用していただくためにも、これから数年をかけて資料の整理に取り組み、円空アーカイブとして公開できるよう務めてまいります。

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