龍門石窟画像データベース作成

 文化遺産国際協力センターは、2001年以来、中国・河南省洛陽市所在の世界遺産・龍門石窟保護のため、様々な内容での支援活動と共同研究を展開してきました。2002年から2007年には、企画情報部写真室と共同で近年発達が著しいディジタルカメラを駆使し、龍門石窟皇甫公窟(6世紀前半)、蓮華洞(同)、敬善寺洞(7世紀後半)の3つの洞窟について、実験的な画像データの収集とその管理システム構築のための研究を進めました。その成果は2008年3月に作成した報告書『世界遺産龍門石窟 日中共同写真撮影プロジェクト報告書(画像目録)』に集大成されましたが、報告書の作成部数に限りがあって必ずしも多くの方にご覧いただくことができず、また印刷物ではディジタル画像の効果を十分に見ていただくことができません。調査研究によって収集した各種のデータについて、その公開性をどのように高めるかは、文化財保護活動の根本的な課題です。そのため、管理システムの構築というテーマを設けていたのですが、撮影と同時に進めた調査に関する情報を盛り込み、なおかつディジタル画像を活用する方法について、スタッフが試行錯誤を繰り返した結果、今回ようやく日本語版のデータベースが完成し、当研究所閲覧室において公開を開始しました。これを利用することによって上記3洞窟についての研究がさらに進むことが期待されます。また、ここで構築された方法は、他の文化財に関するデータベースにも応用ができるものとして、大いに期待されます。なお、共同研究のパートナーである龍門石窟研究院には、中国語版の完成品を提供する予定です。

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