スーダン共和国の文化遺産保護に係るワークショップとシンポジウム

ワークショップの様子
シンポジウムの様子

 東京文化財研究所は文化庁文化遺産国際協力拠点交流事業を受託し、令和7年(2025年)度に「スーダンの文化遺産専門家等の能力強化ワークショップ事業」を実施しています。このたび本事業の一環として、8月13日から16日にかけて東京文化財研究所で4日間のワークショップを実施するとともに、16日午後には関連シンポジウムとして「紛争下の被災文化遺産と博物館の保護―スーダン共和国の事例から」を開催しました。
 スーダン共和国では2023年4月に武力紛争が勃発し、今なお多くの文化遺産や博物館が危機的な状況にさらされています。こうした武力紛争下にある文化遺産を守るために、スーダンと日本の文化遺産専門家がどのように協力出来るかを議論することが、本事業の目的です。
 本事業では、スーダン人専門家3名と、イギリス人専門家1名を日本に招へいし、日本側からは6名の専門家が参加しました。4日間のワークショップでは、スーダンの文化遺産の現状についての情報が共有されるとともに、その保護に必要な国際支援の具体的な方法について議論が行われました。
 関連シンポジウムは、ICOM 日本委員会と日本イコモス国内委員会の共催で行われました。そこではスーダン人専門家3名によるスピーチに加え、5名の日本人発表者から武力紛争下における文化遺産保護と国際協力のための提言がなされました。本シンポジウムには一般に公開され、70名の参加者がありました。参加者からは、日本ではほとんど知られていないスーダンの状況を知ることが出来る良い機会であったとの意見を多く聞くことが出来ました。
 現地での状況は未だに予断を許しませんが、一方で博物館の復興をはじめとしたさまざまな取り組みも始まっています。本研究所も引き続き、スーダン共和国の文化遺産保護の国際協力事業を行っていきたいと考えています。

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