バガン漆芸技術大学における漆工品ワークショップの開催

漆工品の調査実習
クロスセクションサンプルの顕微鏡観察実習

 文化遺産国際協力センターは、ミャンマー連邦共和国における文化遺産保護事業の一環として、バガン漆芸技術大学において漆工品ワークショップを開催しました。バガンは漆工品の一大産地として知られています。同大学はその伝統と技術を継承するため若い技術者の育成に力を入れており、また付属の漆工品博物館を備え、数多くの文化財を所蔵しています。その一方で、文化財の保存修復や材料の科学調査および研究に関する知識と技術を必要としています。
 平成29(2017)年2月6日~8日に実施したワークショップには同大学の教授と付属博物館の学芸員合計12名が参加し、漆工品の保存修復の基礎として不可欠である調査と科学分析について実習と講義を行いました。調査の実習では、各受講者が日本の漆工品3点と付属博物館の所蔵品1点を目視で観察・記録し、それぞれの用途や材料、技法、損傷状態についての意見交換後、講師が解説を行いました。また、科学分析の実習ではクロスセクションのサンプル作製と観察を行いました。実際の作品から剥離した断片を樹脂で封入し、研磨して仕上げたサンプルを顕微鏡で観察することにより、漆塗りの構造について理解することを目的としています。実習の内容を補完するため、講義では保存修復の事例と主な科学分析方法を紹介しました。
 本ワークショップでの経験が、ミャンマーにおける文化財保護の一助となればと考えています。

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