聖ミカエル教会(ケシュリク修道院)での保存修復共同研究

保存修復に関する実地研究の様子

国際シンポジウムでの発表
文化遺産国際協力センターでは、トルコ共和国のカッパドキアに位置する聖ミカエル教会(ケシュリク修道院内)を対象に、現地専門機関や大学と協力しながら内壁に描かれた壁画の保存修復に関する共同研究事業を進めています。今年の6月には、安全に研究活動を行うための環境整備について現地関係者と協議し、足場の設置や水道の整備など、多方面でご協力いただけることとなりました。(聖ミカエル教会(ケシュリク修道院)保存修復共同研究に係る協議::https://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/2087011.html)
令和6(2024)年10月25日~11月9日にかけて現地を訪問し、ネヴシェヒル保存修復研究センターと共同で、剥離した漆喰層の補強や、壁画表面に付着した煤汚れの除去方法など、保存修復に関する実地研究を行いました。いずれについても有効的な方法を見出すことができ、その結果、これをもとにした保存修復計画を立案するに至りました。また、11月6日には、カッパドキア大学で開催された当該事業に係る国際シンポジウムに参加し、事業目的や進捗状況について報告しました。
この共同研究は、東京文化財研究所が中心となり、トルコの専門機関や大学に加え、欧州の専門家も参加する国際的なプロジェクトに成長しています。学術的な調査にとどまらず、文化財の保存や活用に携わる多くの人々に役立つような活動を目指していきます。