東京美術倶楽部との売立目録デジタル化事業がスタート

東京美術倶楽部との協定書調印式の様子

 売立目録とは、個人や名家の所蔵品などを、決まった期日中に売立会で売却するために、事前に配布される目録です。こうした売立目録には、その売立会で売却される美術品の名称、形態、写真などが掲載されており、美術品の伝来や流通を考えるうえで、非常に重要な資料となります。ただ、一般の出版物ではないため、売立目録を一括で所蔵する機関は、全国的にも限られています。
 東京文化財研究所には、明治時代後期から昭和時代までに作られた合計2532冊の売立目録が所蔵されており、その所蔵冊数は、公的な機関としては、日本一です。また、明治40年(1907)の設立以来、長年にわたり美術品の売立会や売却にかかわってきた東京美術倶楽部でも、多くの売立目録を発行し、所蔵してきた経緯があります。
 東京文化財研究所では、従来から、こうした売立目録の情報について、写真を貼り付けたカードなどによって資料閲覧室で研究者の利用に供してきました。しかし、売立目録の原本の保存状態が悪いものも多いため、このたび、東京美術倶楽部と共同で、売立目録をデジタル化しようという事業がスタートしました。
 この事業では、東京文化財研究所と東京美術倶楽部で所蔵する売立目録のうち、昭和18年(1943)以前に作られたものを、全てデジタル化し、その画像や情報を共有することで、貴重な資料を保存しようとするものです。
 こうした売立目録の画像や情報がデジタル化されれば、東京文化財研究所が所蔵する貴重な資料データベースについて、さらなる充実を図ることができると期待されます。

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