研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『TOBUNKEN NEWS (東文研ニュース)』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


『緑林五漢録』完結

一龍斎貞水師による講談

 東京文化財研究所では、平成14年から講談の実演記録を実施しています。ご協力いただいているのは、一龍斎貞水師と宝井馬琴師のお二人です。
 重要無形文化財「講談」保持者の貞水師には、時代物と世話物、二席の連続長講をお願いしていますが、世話物の『緑林五漢録』が、平成20年2月13日、貞水師としては第21回目となる実演記録をもって、遂に完結の運びとなりました。第1回目が平成14年6月11日ですから、足掛けで7年を費やしたことになります。
 緑林(みどりのはやし)とは盗賊のことです。『緑林五漢録』は、五人の義賊が次々に登場しては、刑場の露と消えてゆくまでを描いた長大な物語です。
 時代物は『天明七星談』(平成17年12月26日完結)に続き、現在は『仙石騒動』を口演していただいています。来年度からは新たな長編の世話物が始まる予定です。

第2回無形文化遺産部公開学術講座「上方寄席囃子 林家トミの記録」

講演の様子

 無形文化遺産部主催の公開学術講座が、2007年12月12日、大阪の国立文楽劇場小ホールで開催されました。 開催地の大阪に相応しい題材をということで、昭和37年(1962)に記録作成等の措置を講ずべき無形文化財「上方寄席下座音楽」の関係技芸者に指名された林家トミ師(1883-1970)を取り上げました。当日のプログラムの詳細は、東京文化財研究所ホームページ
http://www.tobunken.go.jp/ich/public/lectures)をご覧下さい。
 公開学術講座は旧芸能部時代から通算すると38回目となりますが、会場が東京以外となったのは今回が初めてです。今後も各地での開催を積極的に計画して行きたいと考えています。

International Seminar for Traditional and Ritual Theatre(テヘラン)での講演

Iranian Artist's Forum-Beethoven Hollでの講演[22日]
City Theatre Cafe(City Theatre of Tehran BF1)での演奏会[25日]

 Dramatic Arts Center of Iranからの依頼を受け、Iranian Artist’s Forum(8月20日~22日テヘラン)におけるInternational Seminar for Traditional and Ritual Theatreで、“Bunraku: Traditional Japanese Puppet Theatre”(飯島満)、“Folk Performing Arts and Traditional Festivals in Japan”(俵木悟)と題する講演を行いました。あわせてIranian Academy of the Artsでの懇談会に出席し、今後の研究協力等について意見を交換しました。
 今回のセミナーは、13th Tehran International Ritual-Traditional Theatre Festival(8月23日~28日)に先立って開催されたものです。フェスティバルの会期中は、イラン国内および近隣諸国を中心に、各地から招かれた様々の芸能がテヘラン各所で公演されていました。日本ではまず実見できないような中東の諸芸が数多く参加しており、その意味においても得るところの大きい極めて有意義な調査となりました。

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