南九州市の文化財保存修復に係る調査研究に関する覚書締結

署名された協定書を掲げる齊藤所長(右)と塗木市長
このたび「旧知覧飛行場給水塔」(市指定文化財)近くに設置された気象観測ステーション(柵内右側)

 東京文化財研究所と鹿児島県南九州市は、平成20(2008)年頃より市域に所在する個々の文化財の保存修復に関する調査研究を共同で実施してきましたが、このたび「南九州市指定文化財等の保存修復に関する覚書」を締結し、連携を一層深めて共同研究を進めることとしました。それにあたり、令和4(2022)年7月20日に南九州市役所で覚書の締結式を執り行いました。締結式では、事業概要が説明されたのち、齊藤孝正所長と塗木弘幸南九州市長が協定書に署名いたしました。
 南九州市は、指定文化財だけでも計191件もの文化財を有する土地柄ですが、中でも国登録文化財である旧陸軍知覧飛行場関連の建造物や市指定文化財である陸軍四式戦闘機「疾風(はやて)」をはじめとした近代の文化遺産は、わが国の近代史におけるかけがえのない資料群としてよく知られています。一方で、これら近代の文化遺産は、たとえ指定または登録されても、従来の文化財と規模、材料、機能等において異なる点が多く、保存と活用の新たな手法が求められる場面が多々あります。この度の共同研究は、当研究所と南九州市とが連携することで、これらの文化財がはらむ保存活用のための技術的課題の解決や、新たな保存手法の開拓、研究活動の活性化などを図り、地域の文化財の普及啓発の促進に寄与することを目的とするものです。あわせてこれらの成果を全国に発信し、同様あるいは類似の課題を持つ地方公共団体等にも資する情報を提供できることも目指していきます。

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