絵金屛風の調査撮影

調査撮影の様子
絵金蔵における複製屛風の展示

 高知県香南市赤岡町には絵金として知られる弘瀬金蔵(1812−76)が描いた芝居絵屛風が23点伝えられており、高知県保護有形文化財に指定されています。通常は絵金蔵という展示収蔵施設で保管されています。絵金屛風の魅力は人気のある歌舞伎のドラマティックな場面を躍動感に溢れる構図と色鮮やかな絵具で描いていることにあります。このうち18点の屛風は赤岡町北部の須留田八幡宮に奉納されたもので、江戸時代末期から須留田八幡宮神祭で屛風が並べられてきました。また昭和52(1977)年からは赤岡町の人々によって商店街に芝居絵屛風を並べる絵金祭が開催されてきました。この2年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で残念ながらお祭りは中止されていますが、地域に根ざした特別な文化財として親しまれています。平成22(2010)年に不慮の事故により5点の屛風が変色してしまいましたが、東京文化財研究所ではこれらの屛風についての保存修理に関する調査研究を実施し、安定化処置が行われました(2017年4月の活動報告を参照 https://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/243905.html)。その後、18点の屛風についても経年劣化が進行していたため、絵金蔵運営委員会および赤岡絵金屛風保存会によって保存修理事業が進められています。当研究所では、この事業推進にあわせて絵金屛風の彩色材料調査を行っています。令和4(2022)年4月15・16日に絵金蔵を訪問し、これまでに修理が完了した18点の屛風について、高精細カラー撮影による作品調査を行いました。今年度末には全ての作品の保存修理が完了する予定で、完了後には調査報告書の刊行も計画しています。

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