第15回公開学術講座「樹木利用の文化―桜をつかう、桜で奏でる―」の映像記録公開

「小鼓組み立て」のデモンストレーション収録
演奏『水』(左から藤舎英心(太鼓)、藤舎雪丸(大鼓)、藤舎呂英・藤舎呂近 (以上小鼓)、福原寛瑞(笛))
座談会の様子

 第15回公開学術講座は、「樹木利用の文化―桜をつかう、桜で奏でる―」と題し、コロナ禍の状況を鑑みて、映像収録したものを編集し、期間限定で当研究所のホームページより配信しています(5月末まで配信予定)。また、令和4年度には報告書を刊行予定です。
 「桜」は日本人に広く親しまれている花で、芸能などでも様々にモチーフとして用いられてきましたが、今回の講座では、「めでたり演じたりする桜」だけでなく、「木材や樹皮などを利用する桜」という観点から桜に着目しました。
 まず、桜をはじめとした「様々な樹木利用の現状と課題」について、川尻秀樹氏(岐阜県立森林文化アカデミー)に講演をお願いし、続いて無形文化遺産部研究員から、「民俗世界における樹木利用 ― 桜を中心に ―」(今石みぎわ)と「無形文化財と桜 ―つかう桜、奏でる桜 ―」(前原恵美)の報告を行いました。
 その後、胴材に桜の木材が使われている小鼓を取り上げ、藤舎呂英氏(藤舎流囃子方)へのインタビュー「小鼓という楽器の魅力」と小鼓組み立てのデモンストレーション、呂英氏の作曲による演奏『水』を収録しました。そして最後に、川尻氏、呂英氏、今石と前原による座談会で締めくくりました。座談会は登壇者のそれぞれの立場を反映し、桜を含む広葉樹の需要の変化や林業の現状と「多様な森」を守る必要性、楽器の材としての桜の魅力や「本物」の楽器による普及の大切さなど、話題が多岐にわたりました。
 今後も無形文化遺産部では、無形の文化財やそれを取り巻く技術、材料について、さまざまな課題を共有し、議論できる場を設けていきたいと思います。

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