文化遺産国際協力コンソーシアムによる令和3年度シンポジウム「海と文化遺産-海が繋ぐヒトとモノ-」の開催

シンポジウム「海と文化遺産-海が繋ぐヒトとモノ-」ポスター
登壇者によるフォーラム「海によってつながる世界」の様子

 文化遺産国際協力コンソーシアム(東京文化財研究所が文化庁より事務局運営を受託)は、令和3(2021)年11月28日にウェビナー「海と文化遺産-海が繋ぐヒトとモノ-」を開催しました。
 人々の営みや当時の社会、歴史、文化を物語る証人として、海に関わる文化遺産が世界各地に残されるとともに、近年では最先端の技術や分析手法を通じて、海を介して運ばれてきたモノの由来も具体的に解明できるようになってきました。本シンポジウムは、海に関わる文化遺産をめぐる国際的な研究や保護の動向、世界各地における海の文化遺産にまつわる取り組みの事例や日本人研究者の関わりを紹介するとともに、この分野での国際協力に日本が果たしうる役割について考えることを目的に開催されました。
石村智(東京文化財研究所)による趣旨説明に続き、佐々木蘭貞氏(一般社団法人うみの考古学ラボ)による「沈没船研究の魅力と意義―うみのタイムカプセル」、木村淳氏(東海大学)による「海の路を拓く―船・航海・造船」、田村朋美氏(奈良文化財研究所)による「海を越えたガラスビーズ ―東西交易とガラスの道」、四日市康博氏(立教大学)による「海を行き交う人々―海を渡ったイスラーム商人、特にホルムズ商人について」、布野修司氏(日本大学)による「海と陸がまじわる場所―アジア海域世界の港市:店屋と四合院」の5講演が行われました。
 続くフォーラム「海によってつながる世界」では、周藤芳幸氏(名古屋大学)と伊藤伸幸氏(名古屋大学)が加わり、東西の海と陸を介した交流、船と技術、地中海世界や新大陸世界での海域ネットワークの様相、海と文化遺産に関する国際協力をテーマとした4つのセッションで活発な議論が展開されました。
 最後に、山内和也氏(帝京大学)が閉会挨拶を行い、人間が海へと漕ぎ出し世界を繋げてきたことを示す物証である、海にまつわる文化遺産を保護することの重要性が改めて強調されました。
 シンポジウムをオンライン形式で行うのは初めての試みでしたが、世界11か国から約200名の方にご参加をいただき、盛況な会となりました。コンソーシアムでは引き続き、関連する情報の収集・発信に努めていきます。
本シンポジウムの詳細については、下記コンソーシアムのウェブページをご覧ください。
https://www.jcic-heritage.jp/20211209symposiumreport-j/

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